研究課題/領域番号 |
20K06303
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研究機関 | 学習院女子大学 |
研究代表者 |
荘林 幹太郎 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (10460122)
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研究分担者 |
田村 典江 総合地球環境学研究所, 研究部, 上級研究員 (20642705)
竹田 麻里 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (60529709)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 多面的機能支払い / 中山間地域 / デカップリング / 外形的裁量度 |
研究実績の概要 |
①農村振興政策分野における国から地方自治体への補助金・交付金について「地方裁量度指標」を構築することによって真の裁量度を定量的に把握するとともに政策目的と同指標値の間の整合性を分析すること、②地方分権が著しく進行しているEU共通農業政策の農村振興関連の各種財政支援金について地方裁量の有効性並びにその政策目的との整合性を検証し国際比較を行うこと、③それらを踏まえて、我が国農村振興政策分野における補助金・交付金の望ましい形態についての政策提案を行うこと、の3目的を設定した。本年度は、第一の研究目的の準備作業を実施した。具体的には農村振興政策の中で予算額の大きい補助金、交付金として多面的機能支払交付金、中山間地域直接支払交付金、灌漑排水事業補助金を選定し、それぞれの支援対象者、支援対象行為、支援単価、支援期間、支援交付条件、支援交付条件未達の場合の措置、支援地域、支援予算額、モニタリングや事後評価方法などの企画・実施上の主要項目(以下、「政策構成主要項目」)について、国が決定している事項を、当該補助金・交付金の交付要綱等により詳細に調査した。これにより、分析対象別の裁量度を外形的に評価する作業を継続している(国が決定している項目数の大小によって、外形的裁量度を示すことができる)。一方で、それぞれの政策構成主要項目ごとに地域が「必要とする」裁量度に大きな相違があることから外形的裁量度の把握では本研究目的の達成にいたらない。このため、自治体が必要とする裁量度を計測するために、自治体職員を対象とした室内実験を行う必要があり、そのための準備を行った。あわせて、自治体職員を対象とした裁量度基準計測のためのワークショップを実施できなかったことから2年目に予定していたEUに関する調査の準備作業を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
真の裁量度を計測するための基準を設定する必要があり、それを自治体職員に対するワークショップで明らかにすることが本研究の中核の一つとなっている。そのための予備的なものを含め3回の室内実験(自治体職員を対象にワークショップ形式で実施するもの)を予定していたがいずれもコロナ禍により実施できなかった。このため、進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
実施できなかった自治体職員対象の室内実験(ワークショップ)をコロナ感染の落ち着きを待って早急に実施する。本研究の中核的な分析作業である室内実験についてはオンラインでの実施は困難であるが、やむを得ぬ場合はその方式を検討する。第二の研究目的であるEUとの国際比較については本年度後半の英国調査を予定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により自治体職員を対象とした予備的なものを含む3回の室内実験(ワークショップ)を実施できず、そのための旅費、分析作業のための謝金等が次年度使用額となったもの。コロナ禍の収束をまって必要な室内実験を翌年度に予定しているものとあわせて実施する。さらに英国を対象とした国際比較調査のために年度末に訪英(グロスター大学)する予定としている。
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