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2020 年度 実施状況報告書

医薬品の環境リスクを考慮した集排汚泥と食品廃棄物の混合メタン発酵システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K06305
研究機関国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

中村 真人  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 上級研究員 (60414463)

研究分担者 治多 伸介  愛媛大学, 農学研究科, 教授 (60218659)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード農業集落排水施設 / 汚泥 / 作物残渣 / C/N比 / 医薬品
研究実績の概要

本研究では、集排汚泥と多様な食品廃棄物の混合メタン発酵試験を行い、安定的な発酵が可能な混合条件を明らかにする。さらに、温度、pH等が大きく変動するメタン発酵、消化液の殺菌・貯留過程における医薬品の分解特性を把握する。それにより、医薬品の環境リスクを低減し、エネルギー効率向上と効率的な消化液の肥料利用の実現が可能な集排汚泥と食品廃棄物の混合メタン発酵システムを開発することを目的とする。
令和2年度は、集排汚泥(濃縮汚泥、含水率98%)とC/N比が生ゴミよりも高いすだち搾りかす、コーヒーかす(VSが生ゴミと同等になるように水分調整)を重量比1:1で混合した原料を用いて、メタン発酵試験を行った。その際、尿素添加によりC/N比を調整した試験区と添加しない試験区を設定した。発酵温度は37℃、滞留時間は25日に設定した。また、消化液中の医薬品濃度レベルを把握するため、汚泥と生ゴミの混合物(重量比1:1)を原料とする消化液について、集排施設の汚泥を対象とした研究で検出実績のある医薬品を対象として濃度を測定した。有機溶媒による抽出と固相カートリッジによるクリーンアップ、濃縮を行った後、LC/MS/MSを用いて医薬品の分析を行った。
その結果、すだち搾りかす、コーヒーかすについては、尿素無添加の場合、pHの低下、ガス発生量の減少などの発酵不良状態に陥ったが、尿素を添加した場合にはそれが起こらなかった。C/N比が高めの原料のメタン発酵においては窒素添加が発酵の安定に有効であることが示唆された。また、消化液からは、レボフロキサシン、ベンゾフェノン、ケトプロフェン、カフェイン、イブプロフェン、ジクロフェナク、アジスロマイシンなど、既往の研究で集排汚泥からの検出が報告されている医薬品が検出され、メタン発酵過程で完全には分解されず、消化液に残存することが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

C/N比が高い食品廃棄物と集排汚泥の混合発酵で発酵不良が生じること、それに対して、窒素を添加することで改善できることが確認できたこと、また、メタン発酵過程で残留する医薬品が把握できたことから、研究はおおむね順調に進展している、と判断した。

今後の研究の推進方策

前年度から継続して、集排汚泥(濃縮汚泥、含水率98%)と食品廃棄物の混合メタン発酵実験を行い、得られたデータから、発酵不良に陥る条件、消化液の肥料成分濃度が確保される条件等を明らかにする。その条件と各食品廃棄物等の成分(VS、C/N比、ADF、窒素等)を解析し、多様な原料に対応可能な混合メタン発酵の設計手法としてとりまとめる。
また、前年度から引き続きメタン発酵原料と消化液の医薬品濃度を測定し、メタン発酵過程の医薬品分解特性把握を行う。さらに、熱殺菌・貯留過程の医薬品分解特性把握を行う。得られた結果を、汚泥の乾燥過程、コンポスト過程での医薬品分解データなどと比較するとともに、各医薬品の分解特性を明確化することで、メタン発酵システムの医薬品リスクを評価する。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額は、試料分析をまとめて行うなど、研究費を効率的に使用して発生した残額である。次年度において、分析する項目や頻度を当初より増やし、その分析のための消耗品購入に使用する予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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