研究課題/領域番号 |
20K06315
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
窪田 陽介 福島大学, 食農学類, 准教授 (40535267)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ロボットトラクタ / 視線解析 / 同時・協調作業 / 作業能率 |
研究実績の概要 |
本研究では,有人-無人トラクタによる同時作業時における作業オペレータの視線計測を行い,画像解析および深層学習により,視線パターンを検証し,視線情報を基とした安全かつ効率的な作業パターンの提案を目的としている。2020年度は,フィールド試験によるデータ測定,作業能率の算出,視線解析を実施した。 フィールド試験は,福島県南相馬市小高区の紅梅夢ファームほ場において,無人仕様のロボットトラクタMR1000Aと有人仕様トラクタMR97(両機ともクボタ社製)の2台を用いて,1人の作業者によるほ場4筆における耕うん同時・協調作業を行った。その際,作業オペレータに視線計測器(TalkEye Lite)を装着し,視線情報のデータ収集を行った。試験ほ場は,ほ場A(61.7a),ほ場B(33.6a),ほ場C(29.8a),ほ場D(21.1a)とし,面積が大きい2ほ場を2台同時作業(ロボットトラクタ+有人トラクタ),残り2ほ場については1台単独有人作業(有人トラクタ)により耕うん作業を行い,作業オペレータの視線情報と作業時間,疲労度計測を実施した。 本試験の計測結果から,1台単独有人作業と2台同時作業の作業能率を算出したところ,2台同時作業で48.1 a/hと最大であった。これは、1台単独有人作業の1.3倍の作業能率となった。耕うん同時作業中のオペレータの視線解析を行った結果では,10分間の作業において,1分32秒(15.3%)視界内にロボットトラクタを捉えていたが,作業オペレータが搭乗する有人仕様トラクタの進行方向にロボットトラクタがある条件に限定された。また,1回の注視時間は、0.5秒~2秒程度であることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、2020年度に福島県南相馬市小高区の紅梅夢ファームほ場において,無人仕様のロボットトラクタMR1000Aと有人仕様トラクタMR97の2台を用いて,1人の作業者によるほ場4筆における耕うん同時作業を行った。ロボットトラクタによるデータ測定(作業オペレータの視線軌跡,注視点,注視時間),作業能率の算出,視線解析を実施している。これらは,有人-無人トラクタ同時・協調作業時における安全かつ効率的な作業パターンの提案のための基盤データとなる。研究計画においても,上記の試験,解析を実施する想定としていた。 しかし,視線解析については,作業オペレータの1回の注視時間を解析するのみに留まり,画像解析や深層学習のアルゴリズム構築までに至っていない。 以上の理由より,「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、視線計測と同時に撮影する視野動画をキャプチャ処理し,この視野画像に対して画像解析を行い無人トラクタを抽出するアルゴリズムを構築する。画像解析アルゴリズムは,MATLABを使用して視野領域をHSV画像に変換し,各画素における平均輝度値を算出した後に,濃淡データを基とするマッピングデータの出力を行う。また,視野画像を教師データとし,レーン検出やオブジェクト検出等の深層学習を行い,これに視線計測で得られたデータを加えて視線パターンモデルを構築することを予定している。また,同一ほ場内でロボットトラクタと有人トラクタで作業する協調作業の作業オペレータの視線計測を実施する予定としている。 2022年度は、有人-無人トラクタによる同時・協調による耕うん作業時の作業工程における視線情報や視野情報を数値データとして特徴抽出し,作業オペレータの視線パターンモデルから監視時間や死角,見落とし等を抽出し,同時・協調作業における安全かつ効率的な作業パターンの提案を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で参加予定であった国際、国内学会が中止となったため旅費などを予定よりも使用できなかった。同じ理由で、学生アルバイトを想定した謝金も使用するに至らなかった。 2021年度において、学生アルバイトを含む人件費と視線計測装置に関する消耗品費で使用することを計画している。
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