本研究は、植物が吸収分配するリン酸の個体内での分布に基づく植物の器官ごとのリン酸分子機構の応答の違いを調べる実験である。本研究は、①リントレーサ挙動解析、②リンの化学形態解析、③リン応答マーカー遺伝子発現解析の3点について進めていく。①について計画に記載したイメージセンサーを使った新たなアイディアでのイメージング実験系についてテスト検出を重ね、既存の機器では実現できなかった空間分解能を持つことを確認した。さらに予想外の結果として感度を大幅に向上し、これまでに検出限界以下であった現象を検出できる可能性を見出すことができた。根のトレーサ吸収画像解析を進めた実験例について一般雑誌に紹介記事を掲載することができている。現在はより詳細なスペック評価データと合わせて技術論文として専門雑誌への投稿を進めている。また、異なる栽培条件下での植物体個体全体でのイメージングを行い、個々の器官のリン酸蓄積についてデータを取得した。②については、イノシトールリン酸測定についてのプロトコルを検討まで行い、イメージング解析後のサンプルでの化学形態の評価については今後も引き続き実験を進めていく必要がある。③については、マーカー遺伝子の解析について個々の器官での解析を進めリン酸移行量との量的な関係についてデータを取得することができ、器官間のリン酸応答の比較を進めている。
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