研究課題/領域番号 |
20K06333
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
北澤 裕明 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 上級研究員 (20455306)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 蓄積疲労 / 衝撃応答スペクトル / 繰り返し衝撃 / 衝撃パルス / 衝撃加速度 / 損傷 |
研究実績の概要 |
野菜や果物といった青果物の輸送中の減耗防止が急務となっている。輸送中における青果物の減耗をもたらす原因の一つに荷扱い時などに衝撃が繰り返し加わることが挙げられる。これまでに研究代表者らは、衝撃の繰り返しによる損傷が振動による損傷と同様に蓄積疲労によって引き起こされることを明らかにしている。 一方、蓄積疲労による損傷が可視できるまでの間の、軽微な損傷を目視あるいは数値化することは難しく、このことが青果物の蓄積疲労損傷の発生予測精度の向上において障壁となっている。これらの点を踏まえ、本研究の目的を衝撃応答スペクトル(SRS)解析の応用による青果物の蓄積疲労の定量化としている。 研究初年度である令和2年度は、供試材料となる青果物の選定および実験系の構築について検討した。前者については、繰り返し衝撃と損傷発生との関係が線形近似できること、およびSRS解析のための衝撃応答パルスの計測が容易である、すなわち加速度センサーが確実に固定できることなどが重要である。これまで研究代表者らは、蓄積疲労損傷に関する評価の対象として主にイチゴを取り扱ってきたが、当該年度においては、より適した品目を見出すことができた。なお、本報告時点においては選定した品目は非公開とする。 また、後者については衝撃試験機を用いて、同一の最大加速度および作用時間を有する衝撃パルスを対象品目に対して高い精度で繰り返し印加する方法、および衝撃応答を正確に計測する方法を提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
供試材料となる青果物の選定および実験系の構築という当該年度の2つの目標について、いずれも達成することができた。一方、計測精度向上のための試験の反復回数を稼ぐことができなかった事実を受け止め、本評価としたい。
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今後の研究の推進方策 |
選定した対象品目および構築した実験系による衝撃印加試験を繰り返し、計測精度の向上を図るとともに得られたデータを解析し成果として取りまとめる。また、将来の産業的な利用すなわち実用化を視野に入れ、適用品目の拡大につながる試験を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度において、COVID-19感染拡大防止のための業務体制の見直しにより、ダミーサンプルおよび青果物を対象とした衝撃試験の実施回数が想定を大幅に下回ったため。 令和3年度においては、生じた次年度使用額を用いて、前年度に実施できなかった分の試験を当該年度の試験と併せて実施することとする。
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