| 研究課題/領域番号 |
20K06337
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| 研究機関 | 東京大学 |
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研究代表者 |
宮沢 佳恵 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (40370613)
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| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | 木質バイオマス / 無農薬栽培 / 野菜 / 糸状菌 / 品質 |
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| 研究実績の概要 |
地域の木質バイオマスを土壌に大量投入し、糸状菌等により分解させてから漉き込む土作りにより、通常の家庭の冷蔵庫でも４週間鮮度を保つことのできる葉菜類を栽培している生産者がいる。慣行栽培に比べ、食味も評価が高く、かつ生育期間が通常の栽培よりも短縮され、収量も高い。現段階では、この技術によってハウス内に高CO2条件を作り出すことがわかっているのみであり、木質バイオマスが野菜の生育や品質に効果を与えるメカニズムは不明である。本研究の目的は、当該技術のメカニズムを科学的に解明し、その技術の確立を行うことにより、地域資源バイオマスを使って農業における資源循環を促進することである。また、他の生産者がこうした新たな技術を採用する要因を明らかにすることによって、今後の農業技術開発とその普及に資する知見を提供することである。
当該年度は、この技術を取り入れている生産者へのインタビュー及びアンケート調査を行った。この技術や生産物に関してどのような情報を得て採用するに至ったのか、またこの技術以外で知ってはいるが採用に至らなかったケースについてそれぞれストーリーを語ってもらい、テキストマイニングによりキーワードを抽出した。また、農業を始めてから今に至るまでの、自身が生産する生産物の品質や、栽培技術に関するストーリーの収集も行った。技術採用後の栽培野菜や土壌の変化、消費者からのフィードバックについてもインタビューを行った。
さらに、当該年度末には、耕作放棄地及び通常の有機栽培圃場において、異なるCN比を持つ地域資源バイオマスを使って糸状菌を増やすことができるか、土壌構造の改善ができるか、そして野菜の収量及び品質にどのような影響を与えるかについて試験処理を開始した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予定していた試験の他に、新たに圃場試験を開始している。
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| 今後の研究の推進方策 |
１）研究対象の技術を使った栽培を行っているN氏の栽培方法に準拠し栽培したコマツナ、ホウレンソウ、ミニトマトを栽培し、野菜の生育、収量、品質調査を行う。さらに、土壌については団粒構造（耐水性団粒）・微生物活性（ATP活性による推定）・細菌/糸状菌比（希釈平板法）・土壌動物（ツルグレン法、ベールマン法）・無機態窒素量（比色）・全炭素・全窒素（燃焼法）について収穫時に測定する。特に団粒構造については、N氏がこの栽培方法を始めてから顕著に変化したとしている項目であり、実際に応募者も現地にて土壌が深部まで団粒化しているのを確認していることから、層ごとの団粒構造を分析する。
２) 耕作放棄地及び通常の有機栽培圃場において、異なるCN比を持つ地域資源バイオマスを使って糸状菌を増やすことができるか、土壌構造の改善ができるか、そして野菜の収量及び品質にどのような影響を与えるかについて試験調査を行う。
３）上記の栽培試験の結果の情報を伝達することで、それぞれの生産者が技術の修正を行うか否か、また生産者自体の工夫により技術が変化しているか否かについて調査を行う。これらの情報から、どのような情報の種類が生産者の技術の採用の可否に影響を与え、その技術を採用してからがどのように技術自体が変化していくかについて、詳細なケーススタディーと分析を行う。
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