研究課題/領域番号 |
20K06338
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
及川 洋征 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (70323756)
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研究分担者 |
桂 圭佑 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20432338)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | バイオ炭 / ドリアン果皮 / 自然堤防 / 砂質土壌 / カンボジア / 低投入 |
研究実績の概要 |
本研究は熱帯アジアの未利用植生や作物残渣等から「地域バイオ炭」を作製し、これらを用いた低投入型栽培を試行・評価することを目的とした。最終年度(3年目)は夏季および冬季に研究協力者とともにカンボジアに渡航し、以下の成果を得た。 1)低投入型農業の事例としてポーサット州のホームガーデンとバッタンバン州の種子用稲作経営を調査した。現地で入手が容易なオウギヤシ(Borassus flabellifer)の葉・葉柄やホテイアオイ (Pontederia crassipes) がバイオ炭資材として利用可能と考えられた。 2)前年度の予備試験の知見をもとに、カンダル州タクマウ町において、アブラナ科葉菜 (Brassica rapa) のポット栽培試験を行い、ドリアン果皮由来のバイオ炭と市販の食酢(米酢)の施用効果を評価した。今回は、コンポンチャム州のメコン河自然堤防上の比較的肥沃な砂質土壌を用いた。栽培試験は2022年8月から4ヶ月間、同じポットを用いて2回連続して行った。その結果、食酢の施用については、酢濃度17% 区(pH 2.6)は、酢5% 区(pH 2.8)と比較して1回目の栽培で収量を増加させたが、2回目の違いは明確ではなかった。土壌特性は1回目と2回目の間で明確な差はみられなかった。バイオ炭投入 (10 Mg ha-1) については、対照区(無投入)と比べて1回目の生育収量を増加させず、2回目で増加させた。土中に残る養分が次の作付にも役立つと考えられるが、より少量のバイオ炭投入が提案できるかもしれない。バイオ炭と酢の組み合わせについては、1回目・2回目ともに作物の生育収量に寄与した。ただしバイオ炭と酢17%の組み合わせ区と、バイオ炭と酢5%の組み合わせ区とでは、生育収量と土壌特性に有意な違いはみられなかった。投入効果を高めコストを節約するため、より適切な施用の検討が必要である。
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