本研究では、赤色光や遠赤色光補光連続照射により起こる大麦花成促進遺伝子FT1発現制御機構を明らかにし早生化や極早生化が起こる分子メカニズムを明らかにするための研究を進める。 昨年度の研究では、遠赤色光補光連続照射でFT1遺伝子の発現ピークより約5日前に発現ピークとなるPpd-H1遺伝子のプロモーター領域と考えられる開始コドン上流350bp塩基をバイナリーベクターにあるGUS遺伝子上流に挿入したプラスミドを作製し、形質転換体(T0)の作成を行った。本年度研究では、形質転換体(T0)をカナマイシン含有培地でスクリーニングした。バイナリーベクターpRI910を用いて構築したプラスミドでオオムギ未熟胚を形質転換したところカナマイシン耐性体T1を得ることができなかったが、シロイヌナズナを形質転換したところカナマイシン耐性体T1を得ることができ、形質転換体にはプロモーター領域とGUS遺伝子が導入されていることを確認した。形質転換シロイヌナズナを遠赤色光補光連続照射しGUS染色したところ、GUS発現する形質転換体は得られなかった。以上の結果から、遠赤色光補光連続照射によるPpd-H1遺伝子発現にはPpd-H1遺伝子プロモーターを活性化する因子が必要である可能性が示唆された。
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