研究課題/領域番号 |
20K06346
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
寺岡 行雄 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (40264105)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 放置モウソウチク林 / 輪伐期 / 生存稈年齢 / 枯死率 |
研究実績の概要 |
大部分のモウソウチク林が放置され、その取り扱いが社会問題化している。モウソウチクを資源として利活用するためには、将来にわたってどの程度の量の利用が可能なのかは、資源循環を決めるモウソウチク林の輪伐期で考えることができる。小面積帯状伐採からの回復過程の結果から、モウソウチク林の資源循環と輪伐期について検討した。 伐採区および対照区の8年間の発生稈本数・枯死稈本数・生存稈本数・発生稈と生存稈の平均DBHを集計した。生存稈本数の飽和状態について、放置竹林では生存稈本数が定常状態にあると想定し、対照区の平均生存稈本数を飽和状態と定義した。 伐採区の生存稈本数が飽和状態に達した時点で放置竹林の状態に戻ったと仮定した。飽和状態までの年数を調べるために、伐採区の8年間の生存稈本数データをRichards関数にあてはめた。8年間の枯死のデータを用いて、稈年齢と枯死率の関係をリチャーズ関数にあてはめ、稈年齢15年生までの枯死率を算出した。 伐採を行っていない対象区では、発生稈および生存稈の平均DBHはほぼ一定であったが、伐採区では発生稈の平均DBHは小さかったものの、7年目で対照区と同じ太さまで回復していた。発生稈本数についてみると、1年目から3年目まで新竹が発生し、約2000本/haであったが、4年目は裏年となり、発生稈が少なかった。5年目は表年、6年目は裏年、7年目が表年、8年目裏年を繰り返した。8年目までで3500本程度まで回復していた。一方、対象区では稈密度はほぼ一定であった。対象区での稈密度はほぼ4800本であり、これを飽和密度状態にあるとして、伐採区での生存稈密度が4800本になるまでの期間をリチャーズ関数に当てはめて推定したところ、13年で4800本になることがわかった。したがって、伐採後13年で放置竹林の状態に戻ると示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
引き続き必要な調査を継続すれば,成果を上げることが可能と判断されるため。
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今後の研究の推進方策 |
1)竹林での調査:引き続き、モウソウチク林で、タケノコ発生状況(発生時期、サイズ、空間位置)、止まりタケノコ(発筍したが、成長を停止したタケノコ)、新竹の調査(伸長と葉の展開を完了した新竹の胸高直径と稈高、枝下高の測定)、枯損稈の調査(皆伐後に再生した稈のうち枯損したものの有無)の調査を行う。 2)他地域の皆伐跡再生竹林の状況調査として、愛媛県で行われた伐採後の再生状況を調査したモウソウチク林の現況を調査する。 3)調査結果は速やかに取りまとめ、10月の九州森林学会にて発表する。また、学術誌への論文投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症拡大状況下で、他県への出張を伴う調査旅費ならびに補助要員の謝金の支出ができなかったため。 使用計画としては、令和3年6月には使用する物品の購入を行う。旅費としてはコロナ感染症の状況を次第であるが、令和3年9月に愛媛県への出張を行う予定である。
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