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2020 年度 実施状況報告書

VOC・重金属複合汚染に対するスーパーヤナギの反応機構解明とバイオマス利用法確立

研究課題

研究課題/領域番号 20K06349
研究機関秋田県立大学

研究代表者

石川 祐一  秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (60315603)

研究分担者 木口 倫  秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (70457761)
栗本 康司  秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 教授 (60279510)
高橋 正  秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (80132009)
早川 敦  秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (10450280)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードスーパーヤナギ / 耕作放棄地 / バイオマス利用 / 環境修復 / カドミウム / 1,4-ジオキサン
研究実績の概要

課題1:荒廃湿地・耕作放棄地分布の時空間変動解析:秋田県内の中山間地域において衛星画像(5,7,10月)を用い、GIS解析ソフトウェアによる土地利用分類を行った。画像上荒廃農地と判断された圃場と実際の荒廃農地を比較した結果5月が最も正しく予測していた。雲が少なく入手しやすい点からも、5月下旬の衛星画像が適していると考えられた。
課題2:荒廃湿地・耕作放棄地でのスーパーヤナギによるバイオマス資源化:東日本大震災に起因する津波被害地でのヤナギの生育を評価するために、本課題前に設営した宮城県亘理町圃場でのヤナギ栽培試験を継続した。長期にわたる生育データを得ることができた。課題3:複合汚染土壌でのスーパーヤナギによる重金属・VOC吸収除去法確立:カドミウム等重金属の除去効率を圃場試験によって検討した。以前に設営した圃場試験を継続し、通年での重金属の移動・集積メカニズムを明らかにするためリターも含めたモニタリングを行った。その結果、生育期と落葉期で生葉・落葉中のカドミウム含量について異なる傾向が見られた。
課題4:スーパーヤナギによるVOC除去メカニズムの解明:VOC汚染現場での効率的なモニタリングのために,現場型VOCセンサーによるオンサイト測定法の開発を検討した。今年度はヘッドスペース/ガスクロマトグラフ(HS-GC)を用いてVOCセンサーの検出条件(検出感度)の検討を中心に行った。さらにVOCを制御した室内実験系において、安定同位体を用い、植物体中のVOC動態をより詳細に明らかにした。従来ポプラで報告されたよりも蒸散の寄与が小さく、むしろ植物体内での同化の寄与が相対的に大きいことが示唆された。
課題5:収穫物の品質評価と高度利用法の検討:今年度は材としての有効性の予備調査として材と樹皮の生育過程における重量変化を明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

課題1:衛星画像からの抽出を試みた結果、衛星画像からの荒廃農地類推の正答率が約80%というから踏査との組み合わせにより荒廃農地を抽出可能と考えられた。このことから当初の計画通り順調に進捗することができた。
課題2:長期にわたる生育データを得ることができたことから概ね順調に進捗することができた。圃場所有者の意向により、2021年1月を持って栽培試験を終了し、圃場の整地を行った。
課題3:HS-GCの測定条件と同一条件で分離された1,4-ジオキサンをVOCセンサーにより測定した結果,数ppmの濃度で検出可能であり,質量分析計のような精密機器(検出器)を使用せずに,現場型の簡易センサーでも1,4-ジオキサンを検出可能であることがわかったことから概ね当初の計画通りに進捗できた。また、通年での重金属の移動・集積メカニズムを明らかにするためリターの回収を行ったが分析に予想以上に時間を要したため、生育期と落葉期に絞って解析を行ったことからやや進捗に遅れが見られた。
課題4:安定同位体を施用して植物体中のVOC動態を解明するための実験系を構築し、1系統についてVOC動態を従来よりも詳細に明らかにすることができたため、概ね順調に進捗することができた。
課題5:予備的な実験に終始したが、来年度以降の展開に向けて貴重な知見が得られたため、概ね順調に進捗したと考えられる。

今後の研究の推進方策

基本的に当初の予定通り推進する予定である。課題1:農地へのアクセス状況や傾斜など傾斜や土壌など現地情報と組み合わせ、耕作放棄地の特徴付けを行い、植え付け適地の抽出化を行う。候補とする衛星画像を絞り込むことで実施額に合わせた計画修正を行う。
課題2:すでに設置してある圃場における生育試験を通じて、バイオマス生産の持続性について検討するとともにバイオマス生産量を規定する環境因子を明らかにする。新型コロナウィルス感染状況を鑑み主に秋田県内の試験圃場を中心に試験を行う。
課題3:VOCのオンサイト測定法の開発について次年度は測定精度や現場測定に適用可能な(HS法を含む)前処理法等の検討を行う計画である。 また、スーパーヤナギの成長に及ぼす含有重金属・VOCの影響を明らかにするとともに、重金属吸収含量・VOC蒸散量および生長量の変化から植物体中での重金属・VOCフローを明らかにする。分析のプロセス最適化を試み分析速度を上げることで生育期間中のより精緻な重金属動態の解明を試みる。
課題4:安定同位体で標識したVOCを用いた水耕試験栽培を通じてVOCの植物体内での代謝について明らかにする。代謝も含めたVOC除去メカニズムを解明する。対象とするヤナギの系統を減らすことで実施額に合わせた計画変更を行う。
課題5:課題2で収穫したスーパーヤナギの材としての品質評価に加えて炭化しバイオチャーとしての性能を評価する。

次年度使用額が生じた理由

海外社製の安定同位体を用いた標準試薬(@約300,000円)を当該年度に購入する予定であった。新型コロナウィルスのため海外からの輸入が混乱し、納期が想定以上に遅れることが見込まれたため、当該年度の購入を断念した。当該研究の一部を次年度に行う。
国内学会への参加費として想定していた旅費がリモート開催により交通費の分が未執行となった。次年度の国際学会での発表用の旅費に充当し、使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 沙漠化の現状について2020

    • 著者名/発表者名
      石川 祐一
    • 雑誌名

      沙漠研究

      巻: 30 ページ: 19~26

    • DOI

      10.14976/jals.30.3_19

  • [学会発表] セネガル国・ニャイ地区における野菜栽培の現状と土壌理化学性2020

    • 著者名/発表者名
      石川祐一・深井善雄・若宮理・細川奈々枝・早川敦・高橋正
    • 学会等名
      日本沙漠学会学術大会
  • [学会発表] 早生ヤナギの落葉に伴う重金属元素の輸送と蓄積に関する研究2020

    • 著者名/発表者名
      石川祐一・佐々木祥太・細川奈々枝・早川敦・高橋正
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会岡山大会
  • [図書] 沙漠学事典2020

    • 著者名/発表者名
      日本沙漠学会
    • 総ページ数
      534
    • 出版者
      丸善出版
    • ISBN
      978-4-621-30517-1

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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