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2021 年度 実施状況報告書

ZnPP形成能の高い微生物を用いた食肉製品の色調改善技術開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K06356
研究機関北海道大学

研究代表者

若松 純一  北海道大学, 農学研究院, 准教授 (30344493)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード亜鉛プロトポルフィリンIX / 食肉製品 / 色 / 乳酸菌
研究実績の概要

本研究で見出した、好気的条件下でも亜鉛プロトポルフィリンIX(ZnPP )を形成できる乳酸菌(LLC、略称とする)は、これまで改善できなかった表層部を含む発酵ドライソーセージ全体の色調を改善できることを示した。本年度は、実用化に向けた各種要因の調査、並びにLLCによる好気的条件下での形成機構を検討した。
低温での乾燥を行わず高温熟成を行ったドライソーセージでは、LLC添加区では無添加区に比べてZnPP量が増加し、最終製品の断面全体は鮮やかな色調となった。ZnPP量は初めの1週間で最も上昇し、その後はほぼ一定の値となった。同様に、前駆物質であるプロトポルフィリンIX(PPIX)量の上昇も見られた。一方で、低温熟成で製造を行った場合、無添加区とLLC添加区間でZnPP自家蛍光強度および色調に差はなく、乳酸菌による効果は見られなかった。表面のネトや雑菌の増殖を防止する目的で予め低温乾燥を7日間行ったところ、高温熟成を経ても断面全体もしくは外側部分でZnPP形成が促進されなかった。以上より、乳酸菌LLC発酵ドライソーセージにおいてZnPP形成促進による色調改善を行うためには熟成初期の温度と菌の状態が重要であることが示唆された。
LLCの好気的条件下でのZnPP形成機構については、ヘムから脱鉄して亜鉛を挿入するという経路が同じあったことと、肉中の関与する酵素によって阻害されること、嫌気的条件下ではより一層産生することから、LLCは肉中の好気的ではZnPP形成できないプロセスをバイパス的に補うことにより、ZnPPを酸素の影響に関係なくZnPPを産生させることが示唆された。さらに、菌体だけではなく培養した後の培地成分にも形成促進効果が見られ、菌体外に分泌した酵素だけでなく、代謝産物にも形成促進効果がある可能性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実用化に向けた様々な要因を明らかにし、形成機構においても、推定される形成機構が示され、関与物質の絞り込みができた。今後の推進方策が具体的に示されたため、本研究課題は順調に進捗していると考えている。

今後の研究の推進方策

実用化に向けた検討では、様々な要因を明らかにしたが、やや高い発酵温度が必要であり、食品衛生的にはより低い発酵温度が望まれる。形成機構解明の検討で明らかにした要因を活性化させて、実用化につなげる検討を行う。菌体内外の関連酵素と形成を促進する代謝産物を明らかにし、実験モデル系や実際に食肉製品を製造してそれらの添加促進効果を、具体的な改良技術に変換できるよう推進する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 乳酸菌発酵ドライソーセージにおける亜鉛プロトポルフィリンIX形成と色調に及ぼす各種要因の影響2022

    • 著者名/発表者名
      山之内海映、早川徹、玖村朗人、若松純一
    • 学会等名
      日本食肉科学会

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公開日: 2022-12-28  

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