放牧家畜の採食植物種の多様性がルーメン内細菌群集とルーメン内消化機能に及ぼす影響を検討した。植物種が多様な山地放牧地におけるウシの採食植物種は、イネ科牧草地にくらべ初夏、秋ともに多様であった。ルーメン内細菌群集構造は両季節とも放牧地間で異なり、固相では初夏、秋ともに、液相では秋に、山地放牧地で多様度が高かった。またIn vitro消化試験の結果、樹葉の消化性は初夏に山地放牧地で高く、セルロース分解菌が多く検出された。また、培養後の細菌叢は放牧地間で異なっていた。放牧牛の採食植物種の多様性の違いに伴うルーメン細菌群集構造の違いはルーメン消化機能に影響を及ぼす可能性が示唆された。
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