研究課題
本年度は高速液体クロマトグラフタンデム型質量分析計:LC-MS/MS(エレクトロスプレーイオン化法:ESI)を用いて、ポリアミン(カダベリン、プトレシン、スペルミジンおよびスペルミン)の分析条件の最適化およびニワトリに含まれるポリアミンについて検討した。本実験で分析検討したポリアミンすべてにおいて、MRM(multiple reaction monitoring)トランジションを設定できた。設定した各MRMトランジションをもとに、段階希釈したポリアミン標準溶液に対して得られたクロマトグラムよりピーク面積値を求め、検量線を作成した。その結果、それらの相関係数はr=0.9953-0.9999となり良好な直線性を示した。そして、肉用鶏(ブロイラー)、ニホンウズラおよびキンカチョウの3種の鳥類の血漿を精製して、各サンプルに含まれるポリアミンについて検討したところ、検討したすべてのMRM条件において想定される検出時間にピークが確認されたが、ピーク強度には動物種特異性がみられた。孵化後7日齢のブロイラーヒナを用いて、不断給餌、絶食、再給餌30分後の血漿ポリアミン濃度の変動について検討したところ、再給餌後のカダベリン、プトレシンおよびスペルミンはその他のものと比べて、有意な増加あるいは増加傾向を示す一方で、スペルミジンでは差はなかった。これらポリアミンの濃度変動の違いは、エネルギー状態の過不足に伴う生体内ポリアミン代謝の特異性が存在するものと推察された。以上のことから、LC-MS/MSを用いたポリアミン分析はニワトリヒナのエネルギー代謝調節の評価に有効であり、それらポリアミンは動物種およびエネルギー状態に応じて特異的に代謝・制御されていることが明らかになった。
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Poultry Science
巻: 102 ページ: 102249
10.1016/j.psj.2022.102249
Animals
巻: 12 ページ: 1434
10.3390/ani12111434