研究実績の概要 |
本年度は昨年度に引き続き、魚類由来不凍タンパク質III型AFPを用いた凍結胚の作製とその生存性について検討を行った。食肉処理場由来卵巣を用いて体外受精を行った後、発生培養は無血清のSOF溶液で実施した。発生培養7日目の胚盤胞~拡張胚盤胞を用いて凍結を行った。凍結液は耐凍材エチレングリコール、ポリエチレングリコールを各5%, 6%(5E6P), 各4% 5%(4E5P)、0.1M スクロース, 4mg/mL牛血清アルブミン(BSA)を添加した2つの区を設け、さらにAFPは0, 1.0, 10, 20, 50microg/mLの濃度で添加した。血清の影響をなくするため、洗浄液、凍結液ともBSAを添加した溶液を使用した。体外受精にて胚盤胞期まで培養した胚をプログラムフリーザーを用いた緩慢凍結法で凍結後、-30℃並びに液体窒素内で保存し、融解後の生存性を検討した。 液体窒素保存区では、5E6P区かつAFP 1.0 microg/mL添加区が無添加区、他の添加濃度と比較し高い生存性を示し、48時間後の脱出胚盤胞数も高かった。一方、-30℃区では>10microg/mLで融解後24時間、48時間後の生存胚は認められるものの脱出胚盤胞に達する胚は認められなかった。また-30℃区においても4E5Pよりも5E6P凍結液の方が生存性が高かった。 以上より、液体窒素保存区と-30℃保存区では指摘AFP濃度が異なることが明らかとなったほか、-30℃では凍結液も含めて更なる調整検討が必要であることが明らかとなった。
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