本研究では、主要な血管新生抑制タンパク質であるトロンボスポンジン(TSP)に着目し、ウシの妊娠初期や長期不受胎に伴う子宮内膜機能の改変におけるTSPの生理的役割を明らかにすることを目的とした。その結果、TSPは胚と子宮内膜間の相互作用により、栄養膜細胞と子宮内膜上皮細胞の接着や栄養膜細胞の浸潤といった、着床に伴う子宮内膜の組織リモデリングや胎盤形成の開始に関与している可能性が示された。さらに、長期不受胎牛の子宮内膜では血管新生が抑制状態にあることが明らかとなり、子宮内膜における適切な血管系の構築が、子宮機能の変化による牛の妊孕性と密接に関連している可能性が示された。
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