研究課題/領域番号 |
20K06386
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
中井 美智子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (30442825)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 卵活性化 / ブタ / PLCzeta |
研究実績の概要 |
哺乳類の受精では、精子による卵子内Ca2+濃度上昇が引き金となって卵子が活性化し、一連の受精現象が進行する。しかし、精子がどのように卵子を活性化するのか全容は未だ分かっていない。本研究では、ブタにおける卵活性化機構を解明するために、PLCzetaが機能しない条件で受精させた時の卵活性化状態を調べることで、PLCzeta以外の因子が卵活性化に寄与しているかを明らかにする。 まず、PLCzeta以外にsperm factorとして機能する因子の有無を調べるために、Trim-Away法によりPLCzetaが卵細胞質内で機能しない状況を作成する。Trim-Away法は、E3ユビキチンタンパク質リガーゼであるTrim21を過剰発現させた細胞に、標的タンパク質に特異的な抗体を導入することでプロテアソームにより標的タンパク質を急速に分解することができる。本年度は、Cos7細胞にPLCzetaモノクローナル抗体、Trim21ベクター、PLCzetaベクターを導入し、PLCzetaタンパク質が分解されることをウェスタンブロッティングにより確認した。 また、受精時に生じる精子と卵子の膜融合が卵活性化に寄与するのかを調べるために、運動性を有するPLCzeta欠損精子を作出する。ブタ精子の運動性や膜の完全性を保持したままPLCzetaを取り除くことはできないため、PLCzetaノックアウトブタを作出し、その精子を実験に供する。本年度は、PLCzetaノックアウトブタ体細胞を作出し、それをドナー細胞とした核移植胚のレシピエントブタへの移植を行った。しかし、まだ個体作出には至っておらず、引き続き胚移植を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
sperm factorとして機能するPLCzeta以外の因子の探索については、ほぼ予定通りに進んでいる。卵活性誘起への膜融合の関与の検証については、所属機関における豚熱対策のため、屠場由来卵子を胚移植に使用することができない。そのため、胚移植用の卵子を十分に確保することが困難な状況が続いており、PLCzetaノックアウトブタ個体の作出に至っておらず予定よりも遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
Trim-Away法でブタPLCzetaを分解できることを、Cos7細胞を用いた実験で確認することができたため、実際にブタ卵子を用いた実験を進めていき、PLCzeta以外にsperm factorとして機能する因子の有無を明らかにする。 一方、今後も十分な数の卵子の確保が困難な状況は続くと予想される。そのため、核移植胚の発生能改善に取り組む。また、卵子あるいは胚を凍結保存してストックし、数が揃った時点で胚移植を行うなどの対策を取り、PLCzetaノックアウトブタ個体の作出を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品類が当初の計画より安価に購入することができたため。繰り越し分は、試薬や消耗品の購入に使用します。
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