研究課題/領域番号 |
20K06387
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
田上 貴寛 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 上級研究員 (60355104)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ニワトリ / 始原生殖細胞 / 性分化 / 配偶子分化 |
研究実績の概要 |
ニワトリのゲノム編集や遺伝資源の再生のために必要なキメラニワトリの作出において、ドナーとなる始原生殖細胞(PGCs)がキメラニワトリ内で受精可能な配偶子へと分化するにはドナーとレシピエント胚の性が一致している必要がある。なぜ異性胚へ移植したPGCsの配偶子形成が阻害されるのかについて明らかにするため、孵卵後2.5日胚、9日目胚、19日目胚から採取した雌雄のPGCsおよび異性へ移植した孵卵9日目、19日目のキメラ胚から採取したPGCsの10群間で発現している遺伝子等の発現量をTPM値にて比較した。その結果、孵卵9日目および19日目の雄生殖巣内の雄PGCsにおいて高発現する遺伝子Aは、雌胚に移植された雄PGCsおいてはほとんど発現が無いことがわかった。遺伝子AがPGCsで発現するためには、自身と胚の性が一致して雄であることが必要であると考えられる。この他、2.5日胚では雌雄PGCsとも高い発現を示すが同性の9日目胚においては発現が10分の1程度まで減少する複数の転写物が、異性胚においては発現が維持されていた。これらの転写物ではPGCsと胚の性が同一であることが発現抑制に必要となっている可能性がある。遺伝子Aについては雄PGCsが正常な配偶子分化するために重要な機能を有する可能性が考えられるため、ゲノム編集により雄PGCsの遺伝子Aの機能を喪失させるPGCsを作出し、宿主胚に移植してその分化様式を解析し遺伝子機能を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
雄または雌PGCsを雌胚に移植してキメラニワトリを作出し、成鶏まで飼養した後に卵巣から卵胞を採取し、RNAシークエンスを行う予定であった。キメラニワトリは作出された。しかしながら、安楽殺後に卵巣から採取した卵胞からRNAが採取できないという予期しないことが起こり、雌における異性PGC由来配偶子の遺伝子発現に関する実験を行うことができなかった。卵胞採取時の不手際によるRNA分解が起こったことも考えられるが、これまでの研究では起こらなかった現象のため、採取した卵胞では既に卵子は死んでおりRNAが分解していたことも考えられる。令和5年度にも再度キメラニワトリ作出を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子Aについては雄PGCsが正常な配偶子分化するために重要な機能を有する可能性が考えられるため、ゲノム編集により雄PGCsの遺伝子Aの機能を喪失させるPGCsを作出し、雌雄の宿主胚に移植してその分化様式を観察し、その遺伝子機能を解明することを目標とする。また、雌雄のPGCsで発現量が大きく異なる遺伝子についてもゲノム編集技術で遺伝子ノックアウトしたPGCsを作出し、その機能を明らかにする。さらに、「現在までの進歩状況」に記述したとおり、雌雄のPGCを移植した雌キメラニワトリの作出を行い、卵巣において正常な配偶子形成を行うために必要な遺伝子の探索に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度は雄または雌PGCsを移植した雌キメラニワトリにおいて卵子で発現する発現遺伝子の比較を行うため、RNAシークエンスを行う予定であったが、卵胞からのRNA抽出ができなかったためRNAシークエンスを行うことが出来なかった。そのため令和4年度予定していた予算執行ができなかった。令和5年度は、雄PGCsが正常分化するために必要である可能性がある遺伝子機能を検証するため、また令和4年度に行うことが出来なかった雌において正常な配偶子形成を行うために必要な遺伝子の探索を目的としたキメラニワトリの作出およびその遺伝子解析に予算を執行する。
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