研究課題/領域番号 |
20K06397
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
森山 光章 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (20275283)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 短鎖脂肪酸 / 中鎖脂肪酸 / ミクログリア / 神経炎症 / 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
令和2年度は脳内に存在するグリア細胞のうち主に免疫機能を担うミクログリアに焦点を当てin vitro実験を行った。ミクログリア株化細胞であるBV-2細胞を用い、リポポリサッカライド(LPS)誘発神経炎症性変化に対する短鎖および中鎖脂肪酸の効果について検討した。短鎖脂肪酸として我々は既に炭素数2 である酢酸 (C2) のミクログリアに対する炎症抑制効果を報告している。今年度はC4である酪酸の効果と、中鎖脂肪酸であるオクタン酸 (C8) の効果を合わせて検討した。LPS添加により一酸化窒素 (NO) 産生が増加し、培養液中への放出も増加するが、C4またはC8の同時添加により抑制がみられた。ウエスタンブロッティング法による誘導型NO合成酵素 (iNOS) 発現もC4またはC8の同時添加により抑制が確認された。このとき生細胞数に変化はみられなかった。さらに、LPS刺激による活性酸素種 (ROS) 産生の増加もC4またはC8の同時添加により有意に低下した。これらの結果から、C4やC8は細胞への酸化ストレスを軽減し、神経炎症性変化を抑制するものと考えられる。NO産生に関わる情報伝達系であるMAP kinase類(p-38 MAPKやJNK、ERK)の活性化も現在のところC4またはC8により抑制傾向が認められている。一方、アストロサイトに対するC4およびC8の影響は既に検討済みで、興味深いことにミクログリアと逆の効果、すなわち炎症増悪の結果を確認している。今後、これら乖離する結果の原因を追及していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナの影響で思うように実験を進めることが叶わなかった。次年度は、この遅れを取り戻したい。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は前年度の検討課題であった他の中鎖脂肪酸(C6, C10)の影響について明らかにする。さらに短鎖及び中鎖脂肪酸がどのような受容体を介して作用するか明らかにしたい。また、ミクログリアの主要な機能である貪食能やサイトカイン産生についても検討を加えたい。加えてアストロサイト/ミクログリア共培養を用いて、これらが同時に作用する場合の影響について明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナにより学会発表に充てた旅費を使用しなかったため。今年度の旅費に加える予定。
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