70頭の臨床的に健康な乳牛を対象に乳栄養素と体細胞の乳汁中の脂肪酸濃度と単離した体細胞・マクロファージのサイトカインならびにケモカイン遺伝子発現量を解析した結果、乳脂肪率とCCL14遺伝子発現量とにR=-0.393で有意な負の相関性があったもののその他の乳栄養素と各因子との間には有意な関連は見られなかった。また乳中脂肪酸と各因子との関係においてリノレン酸濃度とCCL14と間にR=0.405で有意な正の相関性がみられたが、オレイン酸ならびにリノール酸濃度と各免疫因子との間には統計的な関連はみられなかった。 また臨床型乳房炎に罹患した28頭の乳房炎罹患牛の乳を対象に乳体細胞数と体細胞のM1/M2マクロファージの関連因子のmRNA遺伝子量との関連を調査した。体細胞数と免疫因子とには明らかな関連はみられなかった。また認められた検出された3つの細菌のStaphylococcus aureus (SA)、Coagulase-negative Staphylococci (CNS)、Streptococcus spp.ならびに検出不可の検体別で比較したところ、難治性乳房炎の原因菌とされるSAが検出された検体で体細胞数が他のものに比べて著しく上昇していた。またCNSならびに検出不可の検体のIL-8ならびにarginase1遺伝子発現量は健康対照の検体に比べて有意に高い値であったのに対してSAの検体では健康対照との間に有意な差を認めなかった。
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