本研究で樹立した牛腸管オルガノイドは遺伝学的および組織形態学的解析を通じて生体の腸管構造と類似した3次元組織体を形成すると共に、連続継代しても自己複製能力が維持されていることを明らかにした。加えて、培養細胞での分離が困難であった牛コロナウイルスや牛ロタウイルスに対して、本来の自然宿主に由来する本オルガノイドを用いることで、それらを効率的に分離できることを明らかにした。これらの事実は、本オルガノイドが実施困難な動物実験に代わって消化器病ウイルスの感染・発病メカニズムを解明する上で有用な研究ツールとなることを証明した。
|