研究実績の概要 |
国内の家畜・家きんのサルモネラ症対策は、予防対策・抑制対策・汚染評価であり、行政機関が農場に対して取り組みを働きかけている。サルモネラ汚染を評価する対策として抗体検査が利用されているが、 既存の抗体検査では、不活化ワクチンを接種した個体と感染個体との区別がつかなくなるといった科学的な難点が生じてしまう。本研究は、感染した個体のみを検出できる新規の抗体検査方法を開発し、サルモネラ感染防止対策指針としてモニタリング方法の充実・強化を図ることを目的とする。昨年度は、感染個体の抗体のみが反応する抗原の探索をマウス血清を用いて行い、Salmonella enterica serovar Typhimurium (S. Typhimurium)由来の6個の組換えタンパク質が感染個体の血清 に対して優位に高い反応を示すことを明らかにした。今年度は、1)候補抗原を用いたエライザ法の2次抗体の検証を行った。また、2)同定した固相化用抗原を用いて、ニワトリ血清中の抗体価を評価した。 1)候補抗原を用いたエライザ法の2次抗体の検証として、マウスのIgA、IgM、IgG1, IgG2a, IgG2b, IgG3を用いて候補抗原に対する抗体価を検証した。IgA、IgMおよびIgG1、IgG2bにおいてはワクチン接種(死菌)群と感染群ともに抗体が検出されなかった。一方で、IgG3およびIgG2aに関してはワクチン接種(死菌)群に比べて、感染群が優位に高い抗体価を示した。 2)同定した固相化用抗原を用いたニワトリ血清中の抗体価の検証として、6個の組換えタンパク質のうちBamAおよびSsaKを抗原としたエライザがワクチン接種群と比較して感染群が優位に高い抗体価を示した。以上の結果から6個の組換えタンパク質のうちBamAおよびSsaKがニワトリにおいて利用可能な抗原であることが示唆された。
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