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2023 年度 実施状況報告書

犬がん幹細胞におけるメトフォルミンによるミトコンドリアを標的とした放射線増感療法

研究課題

研究課題/領域番号 20K06424
研究機関北海道大学

研究代表者

細谷 謙次  北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (50566156)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード放射線治療 / 分子標的療法 / 免疫チェックポイント阻害剤
研究実績の概要

2023年度においては、2022年度に引き続き放射線抵抗性関連因子および放射線増感戦略の探索を実施し、PD-1/PD-L1経路およびJAK-STAT経路の2つに着目して研究を継続した。PD-1/PD-L1は、免疫チェックポイント分子として知られており、腫瘍細胞の免疫回避機構に深く関与している。2023年度は、放射線照射後に腫瘍細胞のPD-L1発現が増加することに着目し、これがPD-1/PD-L1経路を介して放射線誘発性の抗腫瘍免疫応答を減弱させているのではないかとの仮説の元、臨床例における照射前後での抗PD-L1キメラ抗体の投与による放射線増感効果の検証並びに培養腫瘍細胞株における放射線照射後のPD-L1発現量の変動の調査を行った。結果として、培養犬悪性黒色腫細胞株において放射線照射後および炎症性サイトカイン曝露後には一過性にPD-L1発現量が増加することが観察された。JAK-STAT経路は細胞増殖に関わるシグナル伝達経路の一つであり、我々の研究の過程で放射線抵抗性に関わる因子の一つとして見出された。さらに、同経路をブロックする分子標的薬であるオクラシチニブの併用によって、放射線増感効果があることがIn vitroおよび腫瘍移植マウスモデルを用いた実験によって示唆されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究はコロナ禍の影響も薄れ、現在は順調に進行している。2023年度においては、2022年度に引き続き放射線抵抗性関連因子および放射線増感戦略の探索を実施し、PD-1/PD-L1経路およびJAK-STAT経路の2つに着目して研究を継続した。
PD-1/PD-L1は、免疫チェックポイント分子として知られており、腫瘍細胞の免疫回避機構に深く関与している。2023年度は、放射線照射後に腫瘍細胞のPD-L1発現が増加することに着目し、これがPD-1/PD-L1経路を介して放射線誘発性の抗腫瘍免疫応答を減弱させているのではないかとの仮説の元、臨床例における照射前後での抗PD-L1キメラ抗体の投与による放射線増感効果の検証並びに培養腫瘍細胞株における放射線照射後のPD-L1発現量の変動の調査を行った。結果として、培養犬悪性黒色腫細胞株において放射線照射後および炎症性サイトカイン曝露後には一過性にPD-L1発現量が増加することが観察された。これらの結果は学術誌に投稿、掲載済みである。
JAK-STAT経路は細胞増殖に関わるシグナル伝達経路の一つであり、我々の研究の過程で放射線抵抗性に関わる因子の一つとして見出された。さらに、同経路をブロックする分子標的薬であるオクラシチニブの併用によって、放射線増感効果があることがIn vitroおよび腫瘍移植マウスモデルを用いた実験によって示唆されている。本結果は国際学術集会にて発表済みであり、現在学術誌に投稿すべく準備中である。

今後の研究の推進方策

今後の予定としては2023年度に見いだされたJAK-STATシグナル伝達経路を標的とした分子標的療法による放射線増感効果について、マウスモデルを用いたIn Vivoの実験を継続して実施する予定である。また、2024年度は2023年度までの研究で得られた知見の論文投稿に主眼を置いてデータ解析および論文発表を行っていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

論文投稿料として使用予定であったものであるが、論文投稿が2023年度中に間に合わなかったため。2024年度には少なくとも3本の論文投稿を予定しており、それらの掲載料の合計が90万円以上となる予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Enhanced Systemic Antitumour Immunity by Hypofractionated Radiotherapy and Anti-PD-L1 Therapy in Dogs with Pulmonary Metastatic Oral Malignant Melanoma.2023

    • 著者名/発表者名
      Deguchi T, Maekawa N, Konnai S, Owaki R, Hosoya K, Morishita K, Nakamura M, Okagawa T, Takeuchi H, Kim S, Kinoshita R, Tachibana Y, Yokokawa M, Takagi S, Kato Y, Suzuki Y, Murata S, Ohashi K.
    • 雑誌名

      Cancers (Basel).

      巻: 11 ページ: 3013

    • DOI

      10.3390/cancers15113013.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Regulation of programmed death ligand 1 expression by interferon-γ and tumour necrosis factor-α in canine tumour cell lines.2023

    • 著者名/発表者名
      Owaki R, Deguchi T, Konnai S, Maekawa N, Okagawa T, Hosoya K, Kim S, Sunaga T, Okumura M.
    • 雑誌名

      Vet Comp Oncol.

      巻: 2 ページ: 279-290

    • DOI

      10.1111/vco.12886.

    • 査読あり
  • [学会発表] Enhancement of radiotherapy by oclacitinib-mediated inhibition of JAK signaling in a canine osteosarcoma cell line2024

    • 著者名/発表者名
      Ryo Owaki, Kenji Hosoya, Tatsuya Deguchi, Sangho Kim, Takafumi Sunaga, Masahiro Okumura
    • 学会等名
      World Veterinary Cancer Congress
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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