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2022 年度 実施状況報告書

犬口腔内扁平上皮癌の浸潤・転移に関わるエピジェネティクス機構

研究課題

研究課題/領域番号 20K06435
研究機関大阪公立大学

研究代表者

野口 俊助  大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 准教授 (10701295)

研究分担者 森 崇  岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (40402218)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード扁桃扁平上皮癌 / SLUG / miR-203 / 遊走 / 浸潤
研究実績の概要

難治性疾患であるイヌの扁桃扁平上皮癌の転移メカニズムの一端を解明することに成功した。口腔内扁平上皮癌ではがん抑制microRNAの一種であるmiR-203が発現低下しており、扁桃扁平上皮癌培養細胞にmiR-203を導入すると、上皮間葉転換マーカーでありイヌ扁平上皮癌の浸潤に重要な役割を果たすSLUGの発現が低下した。同時に創傷治癒アッセイによる細胞遊走能とトランスウェルアッセイによる細胞浸潤能は有意に低下した。また、miR-203 inhibitorの導入では、これらの逆の現象がみられた。Dual luciferase assayにより扁桃扁平上皮癌細胞において、miR-203はSLUGを標的することも明らかとなった。一方、非扁桃扁平上皮癌細胞では、miR-203導入による遊走能や浸潤能の低下はみられなかった。これらのことから、扁桃扁平上皮癌の浸潤、転移メカニズムにおいて、miR-203/SLUGが重要な役割を果たしていることが示唆された。この成果は、現在Oral Diseases誌に投稿中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

in vitroでの扁平上皮癌の浸潤・転移メカニズムは一部明らかにすることができたが、マウス移植腫瘍での転移モデルの作製は至っていないため、in vivoでの再現が現段階では不可能である。これまでに、舌や咬筋への移植によるヒト扁平上皮癌の転移モデル作製が報告されており、同様の手法を用いて転移モデルの作製を試みたが、不成功であった。今後は、ヌードマウスからSCIDマウスに変更するなどの考慮が必要であると考えている。

今後の研究の推進方策

in vitroでの浸潤・転移メカニズム解明については、本研究課題で発現低下が明らかとなったもう一つのmicroRNAであるmiR-205に着目して、解析を行うことを予定している。
また、転移モデルの作製については前述したようにヌードマウスからより免疫不全状態が強いSCIDマウスなどに変更して、舌や咬筋への移植によって転移が成立するかどうかを検証する予定である。

次年度使用額が生じた理由

進捗はおおむね順調であるが、まだ当初計画を達成できていない実験を残しているため、その分を次年度に繰り越した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Functional analysis of the miR‐145/Fascin1 cascade in canine oral squamous cell carcinoma2022

    • 著者名/発表者名
      Noguchi Shunsuke、Tanimoto Nanami、Nishida Ruisa、Matsui Asuka
    • 雑誌名

      Oral Diseases

      巻: 29 ページ: 1495~1504

    • DOI

      10.1111/odi.14143

    • 査読あり
  • [学会発表] Metastatic mechanisms of canine tonsillar squamous cell carcinoma focusing on microRNA expression2022

    • 著者名/発表者名
      岡本奈菜子、野口俊助
    • 学会等名
      第81回日本癌学会学術総会

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公開日: 2023-12-25  

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