鳥類は他の動物群と比較して顕著な高血糖である。本研究ではニワトリ胚が卵の限られた資源を用いて高い血糖値を維持するメカニズムを明らかにしようとした。ニワトリ胚では卵黄嚢膜で糖新生が行われており,胚の酸素の得られやすさの変化に伴って,糖新生の原料として乳酸またはグリセロールが用いられていること,卵黄嚢膜は糖新生で作られたグルコースを血中に放出する臓器であり,血糖値の増加に寄与すること,一方,グルコースはグリコーゲンに転換されて孵卵後期まで卵黄嚢膜に蓄えられ,孵化直前にはグリコーゲンがグルコースに再転換されて血中へ大量に放出され,孵化に伴う大きなエネルギー需要をまかなうことが示唆された。
|