研究課題
自然免疫系を担う好中球やマクロファージは、自らが産生した活性酸素によって生体内に感染した病原体の殺菌を営んでいる。病原体を認識して活性化したこれらの白血球は、食細胞NADPHオキシダーゼ(NOX2)によって酸素からスーパーオキシドを産生し、続いて過酸化水素が作られる。さらにその過酸化水素からは、好中球だけが保有しているミエロペルオキシダーゼ(MPO)によって、次亜塩素酸という活性酸素も作られる。NOX2またはMPOの欠損マウスを用いた昨年度までの研究において、好中球やマクロファージからの活性酸素産生異常によって、感染非依存的な炎症性疾患が助長され、さらには自然免疫異常が獲得免疫異常をも誘発してしまうことを発見した。このような病態の発症メカニズムを知るために、好中球やマクロファージからの炎症性サイトカインの過剰産生機構を明らかにすることを令和3年度の研究課題とし、MPO欠損好中球ではサイトカイン遺伝子の発現を制御する転写因子が異常に活性化していることを突き止めた。一方、死菌に曝されたNOX2欠損マウスは、胸腺の極度な萎縮と胸腺リンパ球の枯渇に加えて貧血に陥ることも発見した。
3: やや遅れている
おおむね順調な進捗状況であるが、成果の公表が遅れている。
令和3年度に得られた研究成果をさらに継続発展させて、自然免疫異常に起因する過剰炎症反応のメカニズム解析と、その異常に起因する獲得免疫異常の発症機構の解析を、当初の研究計画どおりに進める。
コロナ禍の影響で当初参加予定であった国際学会が中止となったため、使用予定であった国際旅費分が残額となった。次年度は国内外の学会の開催状況に応じて積極的に学会参加による情報発信を行う。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 備考 (1件)
Inflammation
巻: in press ページ: -
10.1007/s10753-022-01650-z
Front Cell Dev Biol
巻: 9 ページ: 718586
10.3389/fcell.2021.718586
http://www-user.yokohama-cu.ac.jp/~lifeenv/index.php?id=8