骨格筋と褐色脂肪は共通の幹細胞系譜から分化派生する熱産生組織として体温や代謝調節において重要な役割を果たす。我々は先行研究において、1)CREG1が褐色脂肪細胞の分化を促進し抗肥満作用や脂肪肝改善効果を示すこと、2)CREG1-Tgマウスは野生型マウスに比べて行動量が多いこと、3)培養筋芽細胞においてCREG1が骨格筋の分化を促進する可能性を明らかにしてきた。そこで今年度は、CREG1の骨格筋分化に対する作用について、カルジオトキシンによる筋再生動物モデルを用いて検討を行った。その結果、C57BL/6Jマウスの骨格筋にカルジオトキシンを投与して1週間後において、筋分化関連遺伝子であるMyoD1やMyoGのmRNAレベルが顕著に上昇すると共に、Creg1の遺伝子発現も有意に上昇していることが明らかとなった。また、CREG1受容体として働くIGF2受容体の発現レベルの上昇に加えて、糖・脂質代謝の調節分子であるAMPKのリン酸化亢進と糖輸送体GLUT4の発現レベルの上昇も明らかとなった。さらに、分化筋細胞を用いた検討において、CREG1はIGF2Rを介してAMPKの活性化とGLUT4の発現を誘導し糖取込みを促進することを見出した。以上の結果から、CREG1は骨格筋細胞の分化を促進するとともに、AMPKの活性化を介して骨格筋の糖取込みを促進し筋再生に重要な役割を果たすことが強く示唆された。
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