研究課題/領域番号 |
20K06456
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
土佐 紀子 北海道大学, 医学研究院, 助教 (20312415)
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研究分担者 |
林元 展人 公益財団法人実験動物中央研究所, ICLASモニタリングセンター, センター長 (30332208)
石田 智子 公益財団法人実験動物中央研究所, ICLASモニタリングセンター, 室長代理 (40311237)
森松 組子 (吉松組子) 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 准教授 (90220722)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | イムノクロマト / 実験動物 / モニタリング / 感染症 / 血清診断 |
研究実績の概要 |
学術・科学技術の研究に供する動物の微生物モニタリングは、研究結果の信頼性の担保、および動物福祉の観点から必要不可欠である。近年、多系統少数個体維持の増加や個別換気型飼育機の普及等により、従来の微生物モニタリング方法、すなわち「おとり動物」の感染症の検出を指標とする間接的な方法では感染症を摘発することが困難となっている。この問題を解決するためには、動物を安楽死させることなく微量全血を用い、マウス、ラットの主要感染症を同時に且つ迅速・簡便に検出できる個体別血清診断法の確立が必要である。その方法として有望と考えられる「多項目イムノクロマト(ICG)法」の開発について申請者らは取り組んで来た。 本研究ではこれまでの成果を基に、1)多項目ICG法の検出条件が確定したマウス・ラットの感染症(マウス:マウス肝炎ウイルス感染症、センダイウイルス感染症、ティザー病。ラット:唾液腺涙腺炎ウイルス感染症、センダイウイルス感染症、腎症候性出血熱)の検出における本法の実用性を検証し、2)上記感染症に加え、主要感染症であるマイコプラズマ感染症(マウス、ラット)とティザー病(ラット)のICG法を確立することを目的としている。2年度(令和3年度)においては、以下の研究を実施した。 1.多項目ICGスティックの最適な保管条件・最長保管期間を明らかにする実験において、保管期間6ヶ月および12ヶ月の多項目ICGスティックの各保管条件における検出・感度特異性への影響の結果を得た。 2.乾燥血液を用いた時のICG法の検出・感度特異性を明らかにするため、乾燥血液を作製するための条件を検討した。 3.多項目ICGスティックの輸送条件を確定するための実験設備の準備を行った。 4.Myco(マウス、ラット)とTyzzer(ラット)のICG法を確立するため、抗原の準備を行い、ICGメンブレンに塗布する抗原処理方法の実験に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
R3年度もコロナ禍の影響により参加予定だった学内外の学会開催が全て中止となったため、Web開催の学会等に参加したが、対面式と異なり各個人と対話する場が得られなかった。そのため、ICGスティックの頒布活動を行い新たな協力施設を確保する計画は進んでいない。令和4年度もコロナの影響を受ける可能性が高いが、メールで個々に相談をする等を行い、協力施設を確保する予定である。それ以外の計画に関しては、当初の予定通りに計画を遂行できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
新たな協力施設の確保方法以外は、当初の予定通り研究を進める。すなわち、1)保管温度・湿度および保管期間の条件をふり、ICGスティックの検出・感度特異性への影響を調べ、最適な保管条件・最長保管期間を確定する。2)前述1)の詳細な検討結果を基に供給方法を確定する。最も簡便な方法である常温郵送(普通郵便)について乾燥剤等の効果を検討する。品質を保った状態での常温郵送が難しいと判断された場合は他の供給方法を検討する。3)協力施設から供与された自然感染陽性検体を用いて多項目ICG法の検出感度・特異性を明らかにする。4)協力施設において、ELISA等の自家検査に加え、全血および血清・血漿を用いたICG法による検査を実施し、結果を比較することにより、全血サンプルを用いた時のICG法の検出感度、特異性を明らかにする。4)ろ紙に吸着乾燥させた乾燥血液を協力施設において作製後、常温郵送してもらい、乾燥血液を用いた時のICG法の検出感度、特異性を明らかにする。5)Myco(マウス、ラット)とTyzzer(ラット)のICG法を確立するため、抗原調整方法の実験を継続する。各抗原の精製・濃縮方法、抗原をICGメンブレンに塗布する際の処理方法、および抗体検出用単体を検討し、ICG法の検出条件を決定する。検出条件の確定後、前述3)に記載された実験を行い、ICG法の実用性を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたICG頒布活動のための旅費(42万円)がコロナ禍の影響で未使用となり次年度使用額が生じた。本予算は、翌年度にICG頒布活動の旅費として使用する予定である。
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