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2022 年度 実施状況報告書

新しい卵管観察法による精子と初期胚の卵管内輸送メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K06468
研究機関旭川医科大学

研究代表者

日野 敏昭  旭川医科大学, 医学部, 助教 (10550676)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード卵管 / 精子 / 卵子 / 輸送
研究実績の概要

目的:本研究の目的は、卵子や初期胚がどのように卵管内を移動して子宮に至るのかを明らかにすることである。本年度は、排卵された卵子が、どのように卵管采(入口)を通過して膨大部(受精の場)にまで至るのかについて調査した。
方法:卵管内を移動する卵子はそのままだと目視できないので、卵子(卵丘細胞は残したまま)をグルタールアルデヒド溶液で固定してからヘマトキシリンで着色することで可視化した。固定した卵子は実験直前まで4度のPBS内で冷蔵保管した。
卵子の卵管内における挙動の調査は、生体につながった状態の卵管を使って行った。具体的には、排卵前(hCG投与後9~10時間)の雌マウスを吸入麻酔して卵管を腹腔外に引き出し、卵管を囲うように環流用カラーを設置してから内部にPBS(37度、0.1%BSA含)を循環させた。卵管や卵巣は透明な膜(卵巣嚢)に覆われているので、まず卵巣嚢に小さなスリットをいれ、次にガラスキャピラリーに卵子を吸入し、ガラスキャピラリーをスリットから卵巣嚢内に挿入して卵子を卵管采の上に置いた。卵子が卵管采から膨大部に到達するまでを動画に記録した。また別の実験では、卵子の移動中に卵管内に少量の墨汁を注入することで、卵子と卵管液の挙動の同時撮影も試みた。
結果:卵管采に置いた卵子は数秒から十数秒かけて、卵管内へ吸い込まれるように移動した。その後卵子は、卵管の蠕動に同調するように前後に行ったりきたりを繰り返しながら膨大部方向へと進み、2分ほどで膨大部に到達した。別の実験では卵子の移動中に小量の墨汁を卵管の狭部下部(子宮に近い側)から注入したところ、卵子は、卵巣方向に向かう卵管液の流れに逆らうように膨大部に向かって移動していることが確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナ禍による業務の負担増も徐々に解消され、研究に充てる十分な時間を確保できるようになった。本年度は、排卵卵子の卵管内における挙動の可視化を達成し、どのように排卵卵子が卵管采から膨大部へ移動しているかを明らかにできたので、このような評価とした。

今後の研究の推進方策

排卵卵子が卵管の何によって膨大部まで運ばれているかを明らかにし、初期胚の卵管内挙動に関するデータとあわせて論文投稿する予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究がスタートしてから3年にわたり、コロナによる入国制限により国外の共同研究者(研究協力者)が来日できず、年度毎に計上していた旅費を使うことができず累積されたことが、繰越金の発生した大きな理由である。その他の理由としては、コロナによる種々の業務の負担増により、十分な研究時間を確保できなかったことがある。繰越金は研究協力者の来学や残りの実験計画の遂行、論文執筆と投稿に関する経費に使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (1件)

  • [国際共同研究] ハワイ大学(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      ハワイ大学
  • [学会発表] マウス卵管内における配偶子・初期胚の輸送機構:生体の卵管を使ってわかったこと2022

    • 著者名/発表者名
      日野敏昭
    • 学会等名
      第8回 生殖若手の会

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公開日: 2023-12-25  

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