研究課題/領域番号 |
20K06476
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
徳弘 圭造 関西医科大学, 医学部, 准教授 (20423105)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 受精能獲得 / 精子 / 亜鉛シグナル / 不妊症 / 多精子受精阻害 |
研究実績の概要 |
これまでの研究で、卵子は受精直後に高濃度の亜鉛イオンを放出することにより、卵子の周りを覆う細胞外マトリックスである透明帯に結合している精子の運動性に影響を与え、複数の精子が受精する多精子受精を阻害している可能性が示唆された。また、亜鉛は射出後の精子が受精可能な精子へと変化する受精能獲得という現象に重要な制御因子として機能していることが報告されている。しかしながら、これらの亜鉛を介した現象の分子メカニズムは明らかとなっていない。本研究の目的は哺乳類の受精現象における亜鉛を介した制御機構を分子レベルで明らかにすることにより、不妊症の原因解明・治療や避妊薬の開発につなげることである。 当該年度は、精巣で発現する亜鉛トランスポーターを精子で消失させることによって亜鉛シグナルの受精現象における重要性を明らかにするため、生殖細胞特異的にCre recombinaseを発現するマウスである新規KIマウスを作製した。しかしながら、この遺伝子は生殖細胞で高発現するものの、初期胚の段階でも遺伝子が少し発現するために、全身で遺伝子欠損が起こり、解析に必要なconditional KO マウスが生まれてこないことが明らかとなった。そこで、理研のバイオバンクセンターより生殖細胞特異的にCre-ERT2を発現するマウスを購入して、現在floxマウスとの交配を進めている。今後はタモキシフェン誘導により生殖細胞内で遺伝子欠損を誘導して、受精現象における亜鉛トランスポーターの機能を解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
生殖細胞特異的な遺伝子欠損を誘導するCreマウスを数系統試しているが、解析する遺伝子あるいはコンストラクトにおいて効率的にflox領域の欠損を引き起こすマウスの選定がうまくいっていないため。
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今後の研究の推進方策 |
理研より新たに購入した生殖細胞特異的にCre-ERT2を発現するマウスとの交配を進めることで、より効率的なflox領域の欠損を誘導できるか確認する。また、このマウスは雌雄の生殖細胞でCre-ERT2を高発現するので、卵子においてもこれらの遺伝子機能の解明を進めることによって、精子と卵子における亜鉛シグナルの重要性を解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で実験に必要な動物の作成が計画どうりに進まなかったため、1年間の延長を行い必要なマウスを作製して解析を行う必要があった。現在、解析に必要なマウスを交配により作成中であり、これらのマウスを使用して研究計画に記載した実験を進める。
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