研究実績の概要 |
アトピー性皮膚炎は、様々な免疫細胞のクロストークにより病態が引き起こされることがわかっているが、発症メカニズムは未だ不明な点が多く残されており、特に好酸球については皮膚浸潤の亢進を認めるもののその役割はよくわかっていない。我々が最近開発したhIL-3/GM-CSF TgマウスおよびhIL-3/GM-CSF/IL-5 トリプルTgマウスは、ヒト造血幹細胞移入後にT細胞, B細胞, マクロファージやアレルギーのエフェクター細胞である好酸球、好塩基球、マスト細胞など多くのヒト免疫細胞が分化する優れたヒト化マウスである。本研究では、これらヒト化マウスを用いて、ヒト細胞誘導性アトピー性皮膚炎モデルを開発し、好酸球の機能解析と抗体医薬の前臨床モデルを確立することを目指す。2020年度は、ヒト造血幹細胞によりヒト化したhIL-3/GM-CSF Tgマウスへオキサゾロンを背部皮膚へ頻回塗布し、アトピー性皮膚炎様の症状が認められるか検討した。その結果、hIL-3/GM-CSF Tgマウスのオキサゾロン塗布部位において溶媒塗布部位と比べて表皮の肥厚および、ヒトT細胞の著名な浸潤が認められた。しかしながら、通常の野生型BALB/cマウスと比較すると、これらの皮膚症状の程度は小さく、またヒト好酸球浸潤もほとんど見られなかった。そのため、次年度からはヒト好酸球が顕著に分化するhIL-3/GM-CSF/IL-5 トリプルTgマウスを用いて、オキサゾロンやhIL-33塗布による誘導実験を実施する予定である。
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