研究課題/領域番号 |
20K06478
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研究機関 | 公益財団法人実験動物中央研究所 |
研究代表者 |
佐藤 賢哉 公益財団法人実験動物中央研究所, マーモセット医学生物学研究部, 研究員 (00549149)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | コモンマーモセット / 食物アレルギー |
研究実績の概要 |
本研究を推進する上で必要となる解析基盤の整備を研究計画に沿って実施した。まずは予備実験として、複数のコモンマーモセットと、4-hydroxy-3-nitrophenylacetyl (NP)、Chimeric Human IgE anti NP antibody(抗NPヒトIgE)、およびコントロールとしてヒトIgE抗体を用い、I型アレルギーの誘導が可能であるかを検討した。マーモセットの尾静脈を経由して抗NPヒトIgEを投与し、24時間後に同部位からNPを投与した後、定期的に末梢血採血を実施して、血清中のヒスタミン濃度を測定した。その結果、抗NPヒトIgE投与群では、コントロール群と比較してヒスタミン濃度が上昇することがわかった。また、NP投与後に合わせて行った個体の状態観察では、抗NPヒトIgE投与群で直腸温の低下が認められた。これらのことから、ヒトIgEを用いてマーモセットにI型アレルギーを起こすことが可能であり、マーモセットのヒスタミンは市販されているヒスタミンEIAキットで測定可能であることが判明した。食物アレルギーモデルの作出に関しては、複数のマーモセットを用いて、アレルゲンとして用いる卵白アルブミン(OVA)への嗜好性を確かめた。その結果、ほとんどの個体が自発的に摂取せず、モデル作成時のOVA投与においてはカテーテルを用いた胃内投与が必要と判明した。抗マーモセットIgE抗体の作製に関しては、最新のゲノム解析プロジェクトの公開データを基に設計を行い、タンパクの合成を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言により、動物を用いる実験が半年程度制限されたため、実施計画に対して遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
前検討として実施した抗NPヒトIgEを用いた一連の実験によって、動物実験を行う上でのノウハウが多数得られたことから、それらを十分に活かして食物アレルギーモデルの作出を早期に実現したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度はコロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言により動物実験が制限されたことから、予定使用額との差が生じた。なお、実施状況報告書に記載した実験は、手持ちの試薬等を用いて実施した。次年度は前年度の計画を盛り込む形で使用する予定である。
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