研究課題/領域番号 |
20K06484
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
佐藤 優子 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (70435882)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | クロマチン / エピジェネティクス / ライブイメージング / 長鎖ノンコーディングRNA / X染色体不活性化 |
研究実績の概要 |
2022年度は、クロマチン動態とヒストン修飾の関係に注目して解析を進めた。 本研究ではこれまで、X染色体上の特定の遺伝子領域について、gRNA/dCas9システムを用いて、生細胞内動態(Mean square displacement: MSD)を調べてきた。X染色体不活性化により不活性化されたX染色体では、活性化X染色体上のDNA領域よりも動きが拘束されていた。動態を調べた3か所のDNA領域のうちの1か所は、不活性化X染色体上で転写が活性化されているXist遺伝子近傍にあり、転写阻害剤の添加により動態の拘束が緩和された。したがって転写されている領域では、転写活性化によりクロマチン動態が拘束されていることが示唆された。 今年度は、ヒストン修飾のクロマチン動態への影響について、修飾酵素阻害剤の添加により調べた。不活性化X染色体に高度に蓄積されている抑制性ヒストン修飾H3K27me3を除去するため、責任酵素であるEzh1/2阻害剤(DS-3201)を添加して4日間培養した。この処理によりH3K27me3は検出できないレベルまで低下させて、前年度と同様にgRNA/dCas9システムによるDNA領域の動態観察を行った。 その結果、H3K27me3を除去した場合でも、不活性X染色体上のDNA領域の動態は拘束されており、変化はほとんど見られなかった。 そこで次に、ユークロマチンドメインとヘテロクロマチンドメインの可視化を行い、動態を調べることにした。今年度はクロマチンドメインのライブイメージングを行うための実験系を樹立した。H3K9ac-mintbodyとH3K27me3-mintbodyをHeLa細胞に発現させて、超解像度蛍光顕微鏡を用いてライブイメージングにより検出した。H3K9ac-mintbodyは細胞内安定性が十分ではなかったため、アミノ酸置換による改良を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度の遅れは取り戻すことができたが、その分2021年度に予定していた実験計画を後ろにずらす必要があったため。
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今後の研究の推進方策 |
mintbodyプローブを用いて、ユークロマチンドメインおよびヘテロクロマチンドメインを可視化し、動態を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症防止対策による出校停止のため前年度の計画が遅れた影響により、研究期間の延長が必要になった。 次年度使用額は、プラスミド調製や抗体産生細胞培養上清からの抗体精製、および細胞培養に必要な消耗品(細胞培養試薬、生化学用試薬、プラスチック器具)に使用する。また、細胞に発現させた標的因子を生細胞内で可視化するための蛍光試薬を購入する予定である。
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