研究課題
本研究課題では、ファンコニ貧血タンパク質(FAタンパク質)が脂質代謝制御においてどのような機能的影響を及ぼしているのかについて明らかにすることを目的として解析を行った。最終年度においては、FAタンパク質の一つであるFANCD2と相互作用する因子として同定した脂質代謝関連タンパク質との細胞内局在、および相互作用に必要な機能領域の特定を試みた。具体的な結果としては、高感度に細胞内共局在を検出可能なProximity ligation assayを利用した局在解析により、FANCD2と当該相互作用因子が核内のみならず細胞質中においても共局在する可能性を見出した。この結果は、核内でDNA損傷応答に機能することが知られているFANCD2が、細胞質中において脂質代謝関連因子と相互作用する可能性を示しており、FANCD2のDNA損傷応答以外の新たな機能を示唆する重要な結果である。また、様々な変異型FANCD2と当該因子との相互作用解析を行った結果、FANCD2のDNA損傷応答に必須の翻訳後修飾であるモノユビキチン化が生じる部位の変異は、当該因子との相互作用に全く影響しないが、FANCD2のC末端欠損では相互作用が失われることが判明した。これらは、当該因子との相互作用はこれまで知られているFANCD2のDNA損傷応答に関わる機能とは独立している可能性を示唆する結果である。さらに、本研究課題の補助事業期間内に見出された細胞内小器官である脂肪滴の形成と連関したFANCD2の細胞内動態に関しては、これまで他に全く報告のない新規の細胞応答であり、FANCD2の脂質代謝制御における新たな機能を解析する上で重要な研究成果である。現在、これらの研究成果の一部について国際科学雑誌への投稿準備を行っている。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) 備考 (2件)
The Journal of dermatology
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http://www.biosig.kobe-u.ac.jp
https://www.research.kobe-u.ac.jp/brce-sugasawa/