現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コンドロイチン硫酸は糖鎖の基本単位となる二糖に結合した硫酸基の結合位置と数によってA,B,C,D,E,H,Kの7種類に分類されている。哺乳類の組織において産生されるコンドロイチン硫酸は二糖構造に硫酸基が1箇所結合したA構造やC構造が主成分であり、硫酸基が2箇所結合するD構造やE構造は少ない。高硫酸化されたコンドロイチン硫酸は生理活性物質との相互作用が強くなることによりその機能性が発揮されると考えられている。これまでは脳・神経系組織で発現の高いE構造に関する研究が進んできたが、免疫反応に対する作用はあまり報告されていない。そこで私達はE構造含量が高いスルメイカ軟骨からコンドロイチン硫酸を抽出し、特にE構造が樹状細胞の活性化にどのように機能するかを検証した。 マウス骨髄由来多能性幹細胞を採取し分化させた未熟樹状細胞をイカ軟骨由来コンドロイチン硫酸を固相化したプレート上で予め培養し、その後エンドトキシンのひとつであるリポポリサッカライドを添加することによって樹状細胞を活性化した。コントロールはイカ軟骨由来コンドロイチン硫酸を固相化していないプレート上で同様の実験を行い比較に用いた。成熟樹状細胞が産生する生理活性物質は定量的リアルタイムPCRにてmRNAレベルで測定した。当初予備実験を行った際、活性化の指標となる炎症性サイトカインの発現はコンドロイチン硫酸固相化群でコントロール群に比べて有意に高かったが、実験推進中にロットが変わり新たなものでは有意差は得られなかった。当初のコンドロイチン硫酸と現在使用しているものはE構造の含有量が異なることが判明し、新たなロットで有意な結果を得るためにコンドロイチン硫酸量および構造を再検討している。
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