ATP合成酵素は、生体膜の内外に形成されたプロトン駆動力を回転エネルギーに変換することで、ATPを合成する。この酵素がどのようにプロトン駆動力を回転エネルギーに変換しているかは未だに不明である。本研究では、好熱菌由来ATP合成酵素を材料として、その高分解能構造からエネルギー変換機構の解明を目的とする。 クライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析により、ATP合成酵素の膜内在性ドメインの高分解能構造を得た。得られた構造から、プロトン輸送に重要な残基のプロトン化状態を明らかにすることができた。現在、得られた構造をもとに、分子シミュレーションを行うことで、エネルギー変換機構について議論を行っている。
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