前年度に引き続き、未だ予測することが難しいタンパク質フォールディングについての理解を深めるために、ペプチドタグとナノLC-タンデム質量分析装置を利用した試験管内でタンパク質フォールディングを進化させる実験系の構築を目指してきた。 2020年度には約100種類程度の定量可能なペプチドタグを設計し、2021年度にはそのタグを利用して、無細胞タンパク質合成系による測定条件の検討・最適化などを行ってきた。2022年度では実際にモデルとなるタンパク質に対してスクリーニングを行いながら、さらなる最適化・効率化について検討を行った。その際ペプチドタグについて、一部のタグで定量性が悪いものがあることが確認されたので、配列等を見直した上で、パフォーマンスの良いペプチドタグの選抜を行った。またモデルタンパク質に対するスクリーニングを進めていく際、反応系の溶液量が少ないと検出の際に当初の予想以上に不利である可能性が出てきてしまったため、その点をどう改善すべきかについて検討が必要であることが判明した。反応系の量はコストに直結する問題であり、現状ではかなりの高コストをかけないと十分なスクリーニングが行えないことが示唆されているので、何とかして改善をしたいのだが、現状では良い解決策は見出せていない。またスクリーニングの結果についても、ランダム変異による可溶率の変動が小さすぎるせいか、現状試した範囲では有効な変異を見出すことができなかった。
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