細胞膜は脂質組成の異なる2重層からなる。細胞質側(内葉)に多い脂質の外側(外葉)への一過的反転は細胞死で知られているが、イノシトールリン脂質については未知であった。我々は、内葉にのみ局在するとされていたホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸(PIP2)が外葉にも局在し、悪性がんの性質であるがん細胞の接着、遊走に関与することを見出した。加えて、PIP2反転に関わる候補酵素Aを同定し、外葉PIP2依存的細胞接着に関わる受容体の候補分子を絞り込んだ。以上の結果の一部を国際誌と国際学会で発表した。本研究の成果は、外葉 PIP2 が関わる疾病の治療応用と阻害剤開発への基礎形成につながる。
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