研究課題/領域番号 |
20K06564
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
曽和 義幸 法政大学, 生命科学部, 教授 (10519440)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | べん毛 / 固定子 |
研究実績の概要 |
本研究では,大腸菌の遊泳時に推進力を生み出すべん毛モーターの化学-力学エネルギー変換に着目して研究を進めている.モーターのトルクを生み出す固定子ユニットは,MotAとMotBで構成される膜タンパク質複合体であり,構造的に対称な2つのプロトン透過経路をもつ.MotBへのプロトンの結合・解離にともなうMotA細胞質ドメインの構造変化サイクルが連動した結果,モーター回転運動の素過程を引き起こされると予想される.そのため,2つのプロトン結合部位を独立に操作することで,化学-力学サイクルの詳細を調べることが出来る.本研究課題では,申請者らが最近確立した固定子ユニット内の構造対称性を操作して,ヘテロMotBを含む固定子複合体(ここではヘテロ固定子とよぶ)をつくる手法を用いて研究を進めた.今年度も昨年度に引き続き,ヘテロ固定子ユニットのMotBを独立に蛍光標識する新規蛍光標識法の開発を目指したが,現在のところ,期待された結果を得ることが出来ていない.そこで,別の観点から実験を進めることにした.近年の構造研究では5つのMotAが2つのMotBの周りを回転する固定子内回転モデルが提唱されている.固定子はサイズがわずか7 nm程度であるのでその回転を直接観察することは難しい.ただし,ヘテロMotBを用いてその機能を限定する(機能的な変異,または光架橋できる仕組み)を導入することで固定子内回転機構について研究を進め,回転運動の素過程について解析を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目指していた蛍光標識については予定通り進んでいないが,ヘテロ固定子の特長を生かした機能解析や固定子とFliLの関係についての研究が順調に進んでいるため,おおむね順調と評価した.
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今後の研究の推進方策 |
蛍光標識に注力していたが,今後はヘテロ固定子の変異解析を中心に進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた蛍光観察が予定通り進まなかったため次年度使用額が生じた.別の機能解析で当初の目的を達成するための消耗品費として使用予定である.
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