ネズミチフス菌由来の酵素ノイラミニダーゼのX線・中性子結晶構造に成功した。これは世界で初めてのノイラミニダーゼ類の中性子構造解析例である。2つの状態のノイラミニダーゼの酵素反応で重要とされる活性部位中のアミノ酸残基のプロトン状態および水素結合ネットワークを決定した。ネズミチフス菌由来のノイラミニダーゼの立体構造はインフルエンザ治療薬の重要なターゲットタンパク質であるヒトインフルエンザウイルス由来ノイラミニダーゼと類似しており、その反応形式も共通すると考えられている。本研究で得られた結果は、今後、ノイラミニダーゼ類の反応機構およびその新規阻害剤をデザインするための重要な知見を与えるものである。
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