研究課題
植物細胞内ではアクチン繊維が極性を揃えて配向しており、またアクチン繊維も束化様になっている。この極性を揃えたアクチン繊維の上を,小胞体に結合したミオシンXIが一方向に動くので,植物細胞内では原形質流動と呼ばれている一方向性の流れが生じている。近年,様々な実験結果から「ミオシンXIとアクチン繊維との相互作用により,アクチン繊維は自律的に極性を揃えて配向する」ことが示唆されている。しかし,その分子機構は不明である。本研究において、この機能解明のため、研究代表者が独自に開発したミオシンXIの発現、精製系により様々な種類のミオシンXIを精製し、そして、精製した様々な種類のミオシンXIを用いて、ミオシンXIの酵素・運動機能はじめ様々な生物物理学的、生化学的な手法による機能解析・構造解析を行った。前年までの研究において、シロイヌナズナのミオシンXIの1つであるAtXI-2のモータードメイン(MD)はアクチン繊維の束化能が存在し、さらに束可能を引き起こしているのは MDのN末端サブドメインに存在することが明らかにした。本年度はN末端サブドメイン内のアクチンの束可能を担う領域の絞り込みを行った。手法として、束可能が顕著なAtXI-2MDと束化能がほとんどないシャジクモのミオシンであるCcXIのMDとの間で、分子生物学的手法による領域置換を行い、キメラMDの束可能が逆転する領域を指標として絞りこんだ。その結果、AtXI-2のN末端から121-185アミノ酸部分に束化能が存在することを明らかにした。
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