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2020 年度 実施状況報告書

アスガルド古細菌に見出されたアクチン細胞骨格のイノシトールリン脂質による制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 20K06589
研究機関岡山大学

研究代表者

千住 洋介  岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 特任助教 (90536848)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード生体膜 / 構造生物学 / 真核生物起源 / 分子進化
研究実績の概要

研究の目的
最近、真核生物に近い系統と考えられている、アスガルドと命名された古細菌のメタゲノム解析によるゲノムの再構築から、真核生物に相同性を持つタンパク質をコードする遺伝子がいくつか発見された。その中には、これまで原核生物には存在しないとされてきた、細胞骨格アクチン、アクチン重合の制御因子のホモログが含まれている。そこで本研究の目的は、PI(4,5)P2による、アスガルド古細菌に見出された新規アクチン調節タンパク質の制御機構を解明することである。また、PI(4,5)P2とアクチン調節タンパク質の複合体の結晶構造を解き、生物物理的手法と細胞生物学を組み合わせてその機能を明らかにすることで、アクチン重合に代表される生命システムが、どのように進化してきたかを解明する。
研究実施計画
[Step1] アスガルド古細菌で見出されたアクチン調節タンパク質の人工遺伝子合成をした。[Step2] タンパク質の発現・精製をした。[Step3] 緑色蛍光タンパク質 (GFP) などを融合したアスガルド古細菌アクチン調節タンパク質を培養細胞で発現させ、どのような細胞内構造に局在するか明らかにした。[Step4] 現在、精製した古細菌アクチン調節タンパク質がPI(4,5)P2に結合するか、リポソームを用いて明らかにしている。
上記の一連の研究から、アスガルド古細菌アクチン調節タンパク質による細胞の形態形成が、進化の過程を通して生命活動の維持に必須の機能であったか解明することが可能となる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

[Step1] アスガルド古細菌で見出されたアクチン調節タンパク質の人工遺伝子合成をした。[Step2] タンパク質の発現・精製をした。[Step3] 緑色蛍光タンパク質 (GFP) などを融合したアスガルド古細菌アクチン調節タンパク質を培養細胞で発現させ、どのような細胞内構造に局在するか明らかにした。

今後の研究の推進方策

[Step1] 精製した古細菌アクチン調節タンパク質がPI(4,5)P2に結合するか、リポソーム共沈法を用いて明らかにする。また、リポソームに蛍光色素であるDPH (1,6-diphenyl-1,3,5-hexatriene) を加えて、蛍光異方性を分光蛍光光度計で測定する。
[Step2] 精製したアクチン調節タンパク質をAlexa488などの蛍光色素で標識し、巨大脂質膜リポソーム (GUV: Giant Unilamellar Vesicle) に作用させることで、PI(4,5)P2を含んだ脂質膜に結合するか明らかにする。また、光褪色後蛍光回復法 (FRAP: fluorescence recovery after p hotobleaching) を用いて、アスガルド古細菌アクチン調節タンパク質の細胞膜上でのダイナミクス、側方拡散係数、解離定数(Kd)を定量的に求め、PI(4,5)P2との結合の安定性を明らかにする。[Step3] ピレン (pyrene) 標識アクチンをプローブとして用いることにより、PI(4,5)P2によるアクチンの重合・脱重合反応/切断活性への影響を定量的に明らかにする。また、in vitro TIRF (Total Internal Reflection Fluoresc ence) Microscope (全反射照明蛍光顕微鏡) を用いて、F-アクチンの重合/脱重合を可視化し、PI(4,5)P2とアスガルド古細菌のアクチン調節タンパク質を加えることで、PI(4,5)P2がF-アクチンの動態を制御するかイメージングする。

次年度使用額が生じた理由

研究実施計画に変更が生じたため。
使用計画
生化学実験試薬は、クローニング、タンパク質精製、結晶化解析スクリーニングキット、構造解析や、脂質をAvanti Polar Lipids から購入する。タンパク質の生理学的機能を調べるため、細胞培養のための培地、血清 (FBS)、抗体、細胞や、フラスコ、ディッシュ、ピペットなどのプラスチック器具、ガラス器具などを購入する必要がある。。共焦点レーザー走査型顕微鏡共同利用機器利用料、DNAシーケンシングサービスが必要である。国内・国際学会での研究の成果発表や情報交換のための旅費 (交通費、宿泊費) が必要である。
共同研究者と共同研究の打合わせのための旅費 (交通費、宿泊費) が必要である。研究成果を論文として発表するための英文校閲料、投稿費が必要である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2021 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 備考 (5件)

  • [雑誌論文] Fluorescence Assays to Study Membrane Penetration of Proteins2021

    • 著者名/発表者名
      Senju Yosuke、Zhao Hongxia
    • 雑誌名

      Methods in Molecular Biology

      巻: 2251 ページ: 215~223

    • DOI

      10.1007/978-1-0716-1142-5_16

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Liposome Co-sedimentation and Co-flotation Assays to Study Lipid?Protein Interactions2021

    • 著者名/発表者名
      Senju Yosuke、Lappalainen Pekka、Zhao Hongxia
    • 雑誌名

      Methods in Molecular Biology

      巻: 2251 ページ: 195~204

    • DOI

      10.1007/978-1-0716-1142-5_14

    • 査読あり
  • [備考] researchmap

    • URL

      https://researchmap.jp/senju

  • [備考] Google Scholar

    • URL

      https://scholar.google.co.jp/citations?user=hp0G-ngAAAAJ&hl=ja

  • [備考] 岡山大学 研究者総覧

    • URL

      https://soran.cc.okayama-u.ac.jp/html/84dc2a3fb4cb5a5c74506e4da22f6611_ja.html

  • [備考] Okayama University

    • URL

      https://okayama.pure.elsevier.com/en/persons/yosuke-senju

  • [備考] KAKEN

    • URL

      https://nrid.nii.ac.jp/ja/nrid/1000090536848/

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公開日: 2021-12-27  

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