今後の研究の推進方策 |
[Step1] 精製したタンパク質がPI(4,5)P2に結合するか、リポソーム共沈法を用いて明らかにする。また、蛍光色素であるDPH (1,6-diphenyl-1,3,5-hexatriene) をリポソームに加えて、蛍光異方性を分光蛍光光度計で測定する。 [Step2] 精製したタンパク質を蛍光標識し、巨大脂質膜リポソーム (GUV: Giant Unilamellar Vesicle) に作用させることで、PI(4,5)P2を含んだ脂質膜に結合するか明らかにする。また、光褪色後蛍光回復法 (FRAP: fluorescence recovery after photobleaching) を用いて、タンパク質の細胞膜上でのダイナミクス、側方拡散係数、解離定数(Kd)を定量的に求め、PI(4,5)P2との結合の安定性を明らかにする。 [Step3] 光-電子相関顕微鏡法(CLEM)を用いてタンパク質の局在を蛍光顕微鏡で同定し、その形態を電子顕微鏡で微細観察し、高い空間分解能を得る。また、質量分析 (MS) を用い、偽陽性を排除して、アスガルドアーキアのタンパク質の相互作用分子をヒト培養細胞で同定する。
生物物理学、生化学、細胞生物学を組み合わせて機能を明らかにすることで、アクチン重合に代表される生命システムがどのように進化してきたかを解明する。そして、進化の過程を通して、PI(4,5)P2による細胞膜とアクチン調節タンパク質との結合が、アクチン重合のような下流のシグナルを誘起し、細胞の形態形成と生命活動の維持に重要であることを示す。
|