近年我々はモデル膜を用いて局所麻酔薬が脂質ラフトの形成を阻害することを報告した。本研究では局所麻酔薬が実際の神経芽細胞腫細胞膜に形成されるラフトに及ぼす影響を調査した。まず脂質ラフトと周囲の流動的な膜領域を二色の蛍光脂質で標識した。この細胞に局所麻酔薬を作用させるとフェルスタ共鳴エネルギー移動(FRET)が増加した。次に、ラフトの主要構成脂質であるスフィンゴミエリン(SM)の拡散係数を算出したところ麻酔薬存在下で可逆的に拡散係数が増加することが分かった。拡散係数は蛍光分子を含むクラスタサイズと負に相関ため、本結果は局所麻酔薬がラフトの形成を抑制することを示唆している。
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