研究課題/領域番号 |
20K06597
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐々木 真理子 東京大学, 定量生命科学研究所, 助教 (50722013)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Ctf4 / DNA複製阻害 / DNA二本鎖切断 / 相同組換え / ゲノム安定性 |
研究実績の概要 |
DNA複製は、遺伝情報を正確にコピーし娘細胞に引き継ぐために必須の過程である。しかしDNA複製は鋳型鎖上に存在する様々な障害によって妨げられ、DNA二本鎖切断(DNA double-strand break; DSB)が生じる。DSBは、ゲノム不安定化を誘導し癌や多くの疾患を引き起こす危険なDNA損傷である。しかし、DNA複製阻害時のDSB修復機構は十分に理解されていない。本研究課題では、Ctf4タンパク質がどのようなメカニズムで相同組換えによるDSB修復を抑制するのかを明らかにすることを目指している。 当該年度の研究では、野生型とCtf4タンパク質欠損株においてクロマチン免疫沈降実験を行うことによって、Ctf4タンパク質が欠損することによってDSB部位への結合量が増加する相同組換え因子と減少するDNA複製因子(DNA polymerase alpha)を同定することができた。さらに、DNA polymerase alphaをオーキシンデグロン法を用いて一過的に分解させた細胞においてDSB修復能を解析した。しかし、DNA polymerase alphaの欠乏はDSB修復異常を引き起こすには十分ではないことが判明した。さらに、Ctf4タンパク質と相互作用を示すMms22をCtf4欠損細胞において高発現させると、rDNA増幅は抑制されたがDSB修復異常は抑制されないことも明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Ctf4タンパク質によってrDNA領域への結合が制御されるDNA複製因子や相同組み換え因子を同定することができた。さらにこの因子がDSB修復に与える影響を解析するための実験系の確立にも成功した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の研究では、DNA polymerase alpha以外のDNA複製因子をオーキシンデグロン法によって欠損させた際のDSB修復への影響を解析する予定である。さらに、Ctf4タンパク質と相互作用するMms22タンパク質をCtf4欠損株で高発現させた際の、DNA複製因子や相同組換え因子のrDNA領域への結合パターンをクロマチン免疫沈降法を用いて解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大によってオンサイトでの学会が行われなかったため、旅費が発生しなかったため。
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