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2020 年度 実施状況報告書

シングルセル解析を用いて精子一細胞から高精度なゲノム構築を行う手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K06607
研究機関東京大学

研究代表者

吉武 和敏  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (50646552)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードシングルセル / 精子 / SELDLA / 連鎖解析 / ゲノム構築
研究実績の概要

本研究では10x Genomics社のシングルセルライブラリ調整装置を用い、精子を一細胞ずつジェノタイピングし、連鎖解析を行う。本研究では解析対象としてニホンイトヨを用いることとした。ニホンイトヨのゲノムサイズは465 Mbと魚類の中では小さく、魚類の淡水適応などの進化研究でゲノムが詳しく解読されているイトヨの近縁種であるが、未だにゲノムが解読されていない進化的に重要な種である。今年度はニホンイトヨのゲノムをナノポアを用いて新規にコンティグの作成を行った後、10x GenomicsのCNVキットを用いて精子シングルセル約2,000個のジェノタイピングを行うことができた。精子シングルセルからジェノタイピングを行うパイプラインを新しく開発し、さらにジェノタイピング結果から連鎖解析を行う連鎖解析ソフトウェアSELDLAの改良を行った。具体的には、精子シングルセルのジェノタイピングデータは一細胞あたりのカバレッジがx0.1程度であり、通常の連鎖解析と比較すると非常に欠損が多いため、欠損値を補完する方法を改良した。新しく開発したジェノタイピングのパイプラインは、申請者が開発しているPortable Pipelineの「linkage-analysis~single-cell_CellRanger-VarTrix」パイプラインとして公開した。また、改良を加えた連鎖解析ソフトウェアは同じくPortable Pipelineの「linkage-analysis~SELDLA」として公開した。
得られたシーケンスデータは、アクセッション番号「PRJDB9841」でDDBJに登録した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

最も懸念していたのは、10x GenomicsのCNVキットが細胞ごとに増幅バイアスが異なるなどという理由で連鎖解析を一切行えないデータになるのではないかという点であったが、精子を10x GenomicsのCNVキットで解析した結果、当初期待していたとおり、バイアスなく均等にゲノム全体が増幅されており、薄く広くゲノム全体をシーケンスすることが可能であった。また、連鎖解析のソフトウェアについて、シングルセルのデータの特徴に合わせた改良を行う必要があったが、シングルセルはカバレッジが低く欠損値が多いというシングルセルのデータの最も重要な特徴に対して改良を行うことができた。

今後の研究の推進方策

既にゲノムが詳細に解読されているイトヨと、今回新しく解析したニホンイトヨのゲノムを比較し、連鎖解析ソフトウェアSELDLAの間違いやすいエラーパターンを検出し、さらに改良を施す。更に細胞の数を増加することで連鎖地図の精度が向上するため、さらに細胞の数を増やすことを検討する。
また、本研究で得られた知見を学会発表、論文等を通して報告し、これから新規にゲノムを解析しようとしている研究者の方に使ってもらえるようにPRを行う。

次年度使用額が生じた理由

コロナのため予定していたシーケンス回数を行えなかったため、次年度に繰り越して使用する。

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公開日: 2021-12-27  

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