研究課題/領域番号 |
20K06608
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
亀谷 将史 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (80748517)
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研究分担者 |
石井 正治 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (30193262)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | TCA回路 / rTCA回路 / 代謝複合体 / 炭酸固定 |
研究実績の概要 |
代謝酵素複合体とは、ある代謝系を構成する酵素群が細胞内で形成する複合体である。多くの生物の代謝の根幹として機能するTCA回路においても代謝酵素複合体が形成されることが知られているが、その進化的起源は明らかになっていない。 本研究では、TCA回路を逆回転させた二酸化炭素固定経路、reductive TCA (rTCA)回路における複合体形成の有無やその機能を明らかにする。これにより、炭酸固定というエネルギー的に不利な代謝を進めるために複合体形成が寄与しているかを明らかにすると共に、rTCA回路酵素を用いた物質生産に資する知見を得る。さらに、rTCA回路がTCA回路の祖先型代謝であるという進化的関係に着目し、rTCA回路にとどまらずTCA回路の代謝酵素複合体の起源を明らかにし、生物普遍的な中央代謝系であるTCA回路の進化過程全貌の理解を目指す。 2020年度は、細胞抽出液の分画による複合体形成の検出を試みた。rTCA回路を有する微生物Hydrogenobacter thermophilus TK-6を培養し、その細胞抽出液を調製後、ゲル濾過カラムなどによる分画を行った。得られた過分を用い、rTCA回路を構成する各種酵素の活性を測定を行い、高分子画分で複合体と推測される活性が検出されるかを検証した。様々な調整条件やクロマトグラフィー条件を検討し、一部の酵素については高分子画分での溶出が示唆された。ただし用いたカラムの分離能は高くはなく、より分離能の高い分画方法で信頼性のあるデータを取得する予定である。また、rTCA回路中の酵素にアフィニティ精製タグを付けて発現させ、それと複合体を形成するタンパク質をアフィニティ精製で取得するため、組換え用のプラスミドを作製した。このプラスミドを用いて組換え体の取得を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は、細胞抽出液の分画による複合体形成の検出を試みた。rTCA回路を有する微生物Hydrogenobacter thermophilus TK-6を培養し、その細胞抽出液を調製後、ゲル濾過カラムなどによる分画を行った。得られた過分を用い、rTCA回路を構成する各種酵素の活性を測定を行い、高分子画分で複合体と推測される活性が検出されるかを検証した。様々な調整条件やクロマトグラフィー条件を検討し、一部の酵素については高分子画分での溶出が示唆された。ただし用いたカラムの分離能は高くはなく、より分離能の高い分画方法で信頼性のあるデータを取得する予定である。また、rTCA回路中の酵素にアフィニティ精製タグを付けて発現させ、それと複合体を形成するタンパク質をアフィニティ精製で取得するため、組換え用のプラスミドを作製した。このプラスミドを用いて組換え体の取得を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
細胞抽出液の分画では、より分離能の高い分画方法で信頼性のあるデータを取得する予定である。また、各種酵素を特異的に検出する抗体を作製する。これを用い、画分中での酵素検出をより高感度に行う。さらに、Blue-Native-PAGEも使用し、複合体中に想定している酵素が含まれるかより信頼性の高いデータを得ることを試みる。複合体を形成する酵素が特定できた場合は、特定された酵素を用い、in vitroまたはin vivoで複合体を再構成する。また、立体構造解析についても検討を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度はコロナ禍での業者の出入り停止などがあり、実験に必要な試薬は研究室の在庫でまかなえた。 2021年度に使用する試薬や抗体実験などに必要な物品の購入に充てる予定である。
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