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2020 年度 実施状況報告書

走化性の濃度勾配認識に必要な三量体Gタンパク質の細胞内局在制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 20K06631
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

上村 陽一郎  国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (20321599)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード三量体Gタンパク質シャトリング / 三量体Gタンパク質 / 走化性 / 細胞性粘菌 / Gip1
研究実績の概要

Gタンパク質共役型受容体(GPCR)シグナリングは基礎生物学や医科学などライフサイエンにおける重要な研究分野である。GPCR受容体は三量体Gタンパク質のグアニンヌクレオチド交換反応によって情報を伝達する。ヒトの白血球や細胞性粘菌のような走化性細胞は化学物質の濃度勾配認識にGPCRシグナリングを利用する。走化性細胞はわずか1%程度の濃度勾配を10万倍もの濃度域に渡り検出する能力を持つ。申請者は「Gタンパク質シャトリング」と命名した三量体Gタンパク質の細胞内局在制御が勾配認識に必要であることを発見した。この制御の中心はGタンパク質結合因子であるGip1である。Gip1はGタンパク質の脂質修飾を介して細胞質で結合し、走化性物質刺激に応じて解離する。このようなGip1依存的Gタンパク質シャトリング機構がどのように勾配情報を反映した活性化Gタンパク質の膜局在に繋がるかは不明である。そこで、本研究では(1)Gip1とGタンパク質の結合、解離の分子機構、(2)Gタンパク質の空間制御機構の全体像の解明を目的とする。
細胞性粘菌を用いた研究から、Gタンパク質の結合因子としてGip1以外にRic8、ElmoE、GflBが知られている。Ric8は非受容体グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)として走化性を制御する。また、ElmoEとGflBは各々RacB、Rap1のGEFとしてアクチン重合を制御する。本研究では、これらのGタンパク質結合因子がどのように走化性物質の勾配情報を処理しているかを調べる目的で遺伝学的相互作用を検出する方法を確立した。これにより見出した遺伝学的相互作用について栄養飢餓に対する発生プログラム、走化性を中心に解析を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は「Gip1を中心とするGタンパク質の空間制御」を理解することを目標とした。そこで、粘菌細胞の走化性を制御するGタンパク質の結合因子についてGip1との遺伝学的相互作用を検討した。これによって見出した遺伝学的相互作用について栄養飢餓に対する発生プログラム、走化性を解析している。現在、Gip1を中心とするGタンパク質の空間制御が走化性応答の広い濃度域で重要であるという結果を得た。

今後の研究の推進方策

Gip1を中心とするGタンパク質の空間制御が走化性応答の広い濃度域で重要であることがわかってきた。正常な走化性には勾配認識、細胞運動、細胞極性の3つの要素が重要である。Gタンパク質の空間制御が走化性のどの要素に関与しているか、平均濃度との関係を視野に入れその詳細を明らかにしていく。

次年度使用額が生じた理由

本年度の研究は予想より効率よく進行したため、当初予定していた消耗品への使用額をセーブできた。また、コロナ感染により学会がオンラインになったため予定していた旅費に差が生じた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Talin B regulates collective cell migration via PI3K signaling in Dictyostelium discoideum mounds2020

    • 著者名/発表者名
      Yamazaki Shin-ichi、Hashimura Hidenori、Morimoto Yusuke V.、Miyanaga Yukihiro、Matsuoka Satomi、Kamimura Yoichiro、Ueda Masahiro
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 525 ページ: 372~377

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2020.02.060

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 走化性勾配認識における三量体Gタンパク質制御2020

    • 著者名/発表者名
      上村陽一郎
    • 学会等名
      第10回日本細胞性粘菌学会例会
  • [学会発表] Roles of Gip1 and Ric8 in activation of heterotrimeric G proteins for eukaryotic chemotaxis2020

    • 著者名/発表者名
      上村陽一郎、上田昌宏
    • 学会等名
      第43回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] Role of RGSs in gradient sensing by chemotactic cells2020

    • 著者名/発表者名
      黒岩麟平、上村陽一郎、上田昌宏
    • 学会等名
      第43回日本分子生物学会年会

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公開日: 2021-12-27  

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