研究課題
マクロピノサイトーシスは細胞膜のラメリポディアの伸長と退縮により、細胞外液とそこに含まれる高分子を細胞内に取り込み、リソソームで分解する機構である。本研究計画では、マクロピノサイトーシス制御遺伝子を網羅的に同定するために、CRISPR-Cas9システムを用いたゲノムワイドスクリーニングを行った。期待されていたマクロピノサイトーシス不全細胞集団が得られなかったため、オルガネラ動態の新規制御因子の探索を目的として、膜のユビキチン修飾に焦点を当てて解析を行った。オルガネラ膜を構成するリン脂質であるホスファチジルエタノールアミン(PE)がユビキチン化されることを発見した。PEユビキチン化はエンドソームやリソソームなどのオルガネラや一部のウイルスで見られた。この修飾はタンパク質ユビキチン化と同様の反応によって触媒されており、出芽酵母ではユビキチン活性化酵素Uba1、ユビキチン結合酵素Ubc4/5、ユビキチンリガーゼTul1が一連の反応を担う。PEと結合したユビキチンは、脱ユビキチン化酵素Doa4により除去されるか、液胞へ運ばれて分解される。PEユビキチン化は膜の変形や切断に関与するESCRT複合体をエンドソーム膜に引き寄せ、エンドソーム内腔に小胞が形成する過程(腔内小胞形成)に関わる可能性が示唆された。さらに、ユビキチンファミリーのNEDD8やISG15もリン脂質と共有結合することが明らかになった。以上、オルガネラ膜を構成するリン脂質そのものがユビキチン化されることが示され、リン脂質との共有結合はユビキチンファミリーが持つ一般的な特徴であることが示唆された(Sakamaki J et al. Mol Cell 2022)。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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