研究課題/領域番号 |
20K06637
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
山崎 章徳 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任助教 (80623884)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | オートファジー / オートファゴソーム / Atg8 / 選択的オートファジー / バルクオートファジー / 蛋白質分解 |
研究実績の概要 |
本研究では、Atg8とオートファゴソーム形成因子との結合がオートファゴソーム形成に及ぼす影響を理解し、Atg8結合蛋白質と結合できないAtg8変異体を用いたオートファゴソーム形成系の開発を試みる。このオートファゴソームを単離し内容物を解析することで、受容体を介さないカーゴの取り込みがAtg8に依存しているのかどうか、あるいは他のオートファゴソームへの取り込みを規定する因子の同定を目指している。 今年度は、Atg8変異体としてF104A変異体とF104A/Y106A変異体を用いて解析を行った。F104A変異体についてはオートファジー活性を一部減弱し、F104A/Y106A変異体についてはほぼ完全に阻害すると報告されている。しかし、実際に解析を行うと、F104A変異体についてはごくわずかの活性低下、F104A/Y106A変異体についても完全にオートファジーを阻害することはなく一定の活性を有していることが分かった。次にnon-canonicalなAtg8結合配列であるhelical AIMを個別のオートファゴソーム形成必須因子に付加することで、F104A/Y106A変異体によるオートファジー活性が上昇するかを検討した。しかし、いずれのオートファゴソーム形成必須因子に付加しても活性の上昇は観察されなかった。 次に液胞リパーゼであるAtg15の欠損をこれら細胞に加えることで、液胞と融合したオートファゴソームが分解を免れて蓄積するかを観察した。すると、野生型細胞と同様にAtg8変異体でも融合したオートファゴソームの蓄積が観察され、液胞の精製も可能であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Atg8変異体を用いたオートファゴソソーム形成について、現在用いているAtg8変異体 F104A/Y106Aではオートファゴソーム必須因子にAtg8との結合を促すhelical AIMを付加してもオートファジーの亢進が観察されていない。そのため、亢進が観察されるような新たな変異体を見つける必要があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
上記、進捗状況でも述べたとおり、現在用いているAtg8変異体 F104A/Y106Aではオートファゴソーム必須因子にAtg8との結合を促すhelical AIMを付加してもオートファゴソーム形成およびオートファジーの亢進が観察されていない。そのため、亢進が観察されるような新たな変異体を見つける必要があると考えている。一方で、F104A/Y106A変異体を含む複数の変異体から液胞を精製することに成功した。今後はこれら液胞に含まれる内容物の解析を行い、Atg8変異体でオートファジーを受けるカーゴの同定を試みる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は主に所属研究室で備えられている備品および消耗品で研究し徹底的な節約を行ったため次年度使用額が生じた。本年度に論文出版および海外での研究報告を計画していること、適切な消耗品購入あるいは備品導入を行うことにより次年度使用額を利用する予定である。
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