研究課題/領域番号 |
20K06641
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
初沢 清隆 鳥取大学, 医学部, 教授 (20256655)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | LAPosome / SNAP-23 / phagocytosis / LAP / LC3 / MORN2 / phagosome |
研究実績の概要 |
LC3-associated phagocytosis (LAP)において、LC3が局在するLAPosomeは、内部の成熟反応が亢進するがその機構は不明な点が多い。これまでに樹立したLAP関連因子MORN2を過剰発現するLAPosome形成効率の高いマクロファージ(MΦ-MORN2)株を用いて、本研究ではSNARE蛋白質SNAP-23に着目し、MORN2やLC3との関連を解析し「LAPosomeの形成と成熟化の分子機構」を明らかにすることを目的とした。 令和2年度は、計画①「LAPosome形成と成熟におけるSNAP-23の機能解明」を行った。その結果、MΦ-MORN2においてSNAP-23発現を抑制した場合、LAPosome形成は抑制された。一方、Myc-SNAP-23の過剰発現によりLAPosome形成は促進され、この促進はROS阻害剤によって減弱した。また、免疫染色法により、MORN2発現に依存してMyc-SNAP-23のphagosome局在量が増加することがわかった。この時、phagosome内のROS産生量は増加していた。以上の結果から、MORN2の発現依存的にLAPosomeにより多く局在化するSNAP-23は、NOX2複合体形成を惹起しROS産生が増加させること、その結果としてLC3の局在するLAPosome形成が促進されることが示唆された。 計画②「MORN2とSNAP-23の機能的相互作用の解明」では、免疫沈降実験から過剰発現系において弱いながらMORN2とMyc-SNAP-23との相互作用が見られた。しかし、MΦ内での共局在はまだ見ることができていない。LAPosomeの形成と成熟化の制御機構を明らかにする上で、両者の関係は重要と考えられるので、間接的な相互作用も含め今後検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LAPosome形成には内部のROS産生が必須とされている。令和2年度は、計画①については、MORN2依存的にSNAP-23がphagosomeにより多く局在化すること、そしてphagosome内のROS産生が亢進していることを明らかにできた。ROS産生については、当初計画していた方法では検出できず、Fc OxyBURST Assay Reagent(サーモフィッシャー社)を導入することで解決した。計画②については、免疫沈降によりMORN2とSNAP-23の相互作用は見られたものの、両者の細胞内局在やMORN2と相互作用する因子の網羅的な解析までは十分に進められなかった。
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今後の研究の推進方策 |
計画①「LAPosome形成と成熟におけるSNAP-23の機能解明」について、MORN2依存的なSNAP-23によるphagosome内ROS産生が実際にLC3局在化と関連するかを解析するため、OxyBURST Assay Reagentと免疫染色を組み合わせた実験系を確立する。 計画②「MORN2とSNAP-23の機能的相互作用の解明」について、特にMORN2の相互作用する因子の網羅的解析における問題点を解決する。問題点は、細胞内でMORN2が限定切断を受けることであり、現在、切断をされにくい変異体の作成を進めている。この変異体に蛍光タンパク質mVenusとAlfaタグを導入し安定発現するMΦを作製し、免疫沈降法とプルダウン法を組合せ相互作用因子の網羅的解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はコロナ禍にあり、学会がすべてオンラインになったため旅費分の予算を物品費として使用した。概ね順調に使用できたが、研究計画の一部を引き続き次年度にも行うことから、99,971円を次年度使用することとした。
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